ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Epstein)は、未成年者への性的虐待や人身売買の罪で起訴され、2019年に勾留中に自殺した米国の富豪です。彼はカリブ海の島を個人所有しており、報道によれば、その島には豪邸やプール、コテージ、ヘリポート、テニスコート、港などが整備されていました。
現地の司法当局は、この島で「子どもを含む何十人もの女性が売買やレイプ、性暴行を受け、幽閉された」「12~17歳の少女多数が性虐待や性搾取の被害に遭った」と指摘しています。この島は、周辺住民から「小児性愛者の島」(ペドファイル・アイランド)と呼ばれていたと報じられています。
● 工作活動を仕掛けていた可能性
海外メディアでは報道が相次いでいますが、日本ではあまり取り上げられていません。日本では『週刊文春』が、千葉工業大学学長の伊藤穣一氏や森ビル、東芝に関する文書の記述を指摘していますが、新聞やテレビの動きは鈍い状況です。
実際に報道されても、Yahoo!ニュースの記事などを見ると、他の記事と比べてコメント数が極端に少なく、関心の低さがうかがえます。
2026年現在、膨大な捜査資料(いわゆる「エプスタイン文書」)の公開が進み、世界の政財界を揺るがす局面を迎えています。資料には、未成年の被害者が「1000人以上」と記載されています。
文書の分析で浮上した人脈の中でも、ロシアとの接点が注目されています。報道によれば、エプスタインは2010年代に、ノルウェー・ノーベル賞委員会のヤーグラン委員長(当時)らを通じてロシアのプーチン大統領との会談を模索し、複数のロシア政府高官と交流を深めていたとされています。
また、有力者にロシア人女性を紹介していたことを示唆する文書もあるといいます。ポーランドのトゥスク首相は2月3日、「小児性愛スキャンダルはロシアの情報機関との共謀ではないかという疑惑につながる」と述べました。ロシアが「ハニートラップ」(女性を利用して弱みを握る工作)を行っていた可能性も指摘されています。
● アンドルー元王子を逮捕
BBCなどによりますと、イギリス警察は2月19日、エリザベス女王の三男でチャールズ国王の弟であるアンドルー元王子を逮捕しました。公的立場を利用した不正行為の疑いが持たれているということです。19日は元王子の66歳の誕生日でした。
警察は逮捕からおよそ12時間後、「捜査を継続したまま釈放した」と発表しました。元王子をめぐっては、エプスタインとの関係について複数の疑惑が浮上しています。
元王子は一貫して疑惑を否定していますが、昨年、イギリス王室は「王子」の称号と栄誉を正式に剝奪しました。
イギリスメディアは今月8日、元王子がエプスタインに機密情報を漏えいしていた疑いがあり、警察が捜査に乗り出す可能性があると報じました。

1月30日、アメリカ司法省は事件に関する資料として写真を公開しました。写真には、元王子が地面に横たわる女性の上に四つんばいになっている様子や、腹部に触れている場面が含まれていたといいます。イギリスメディアによれば、これらはエプスタインの邸宅で撮影されたものとされています。
● ジュフリーさんの提訴
2025年4月24日、ヴァージニア・ジュフリーさん(41)が亡くなりました。死因は自死でした。
オーストラリア西部で暮らしていた農場で死亡したと報じられています。彼女はエプスタインやマクスウェルとともに、ニューヨークやヴァージン諸島の私有島へ連れて行かれたとされています。

さらに、アンドルー元王子を含む権力者の男性に「貸し出された」ことがあると説明していました。
ジュフリーさんは2021年8月、英国のアンドルー王子(当時65歳)から2001年にニューヨークやロンドンなどで3回にわたり性的暴行を受け、「多大な精神的、心理的苦痛と損害」を受け続けているとして提訴しました。
英国社交界で知られていたマクスウェルが、元王子をエプスタインに紹介したとされています。
ジュフリーさんの家族は2月19日、元王子の逮捕を受け、「彼は決して王子ではなかった」と強く非難しました。
家族は「今日ようやく、王族であっても法を超えることはできないという知らせに、私たちの傷ついた心は癒やされた」「彼は決して王子ではなかった。世界中の被害者のために、ヴァージニアはこれを成し遂げた」と述べました。
元王子は性的虐待の疑惑を一貫して否定していますが、2022年に数百万ドルの和解金を支払い、裁判を回避しました。
当初、元王子側は弁護団を通じて「根拠のない訴訟で、王子から金銭を得ようとしている」とジュフリーさんを批判していました。
また、ジュフリーさんはエプスタインをめぐる疑惑で多額の金銭を得たと非難され、元王子に対しても「逼迫した状況」で「軽率に」訴訟を起こしたと指摘されていました。しかし、こうした主張はその後繰り返されていません。共同声明では、元王子がジュフリーさんを虐待の被害者と認め、その人格を疑問視すべきではないと述べています。
● 牧場付近の遺体埋葬疑惑の捜査
これまでの報道は、女性の売買やレイプ、性暴行などが中心でしたが、殺人に関する疑惑も含まれるようになりました。
米ニューメキシコ州の司法当局は2月18日、米司法省が公開した文書で明らかになった疑惑について捜査を進めていると発表しました。エプスタインが同州にある自身の牧場の外に、外国人少女2人の遺体を埋めるよう命じたとの疑いです。
州当局の報道官は、この疑惑が記載された2019年の電子メールの未編集版を米司法省に要請したと明らかにしました。司法省はコメントの要請に応じていません。
ニューメキシコ州議会は、エプスタインが20年以上にわたり、サンタフェの南約48キロにあるゾロ牧場で少女や女性に性的虐待を行っていたとされる疑惑について、初の包括的な調査を開始したとしています。
参照:米富豪・ロシアの関係浮き彫り 情報機関と共謀疑いで調査―少女人身売買、報道は抑制気味
英アンドルー元王子を逮捕…公職における不正行為の疑い チャールズ国王は「深い懸念」
米ニューメキシコ州、エプスタイン氏牧場付近の遺体埋葬疑惑捜査
