「ロングバケーション」 1996年製作 日本
 

約30年前に制作されたドラマ「ロングバケーション」は、木村拓哉と山口智子が主演し、恋や人生につまずいた男女が「心のリハビリ期間」を通して少しずつ前に進んでいく姿を描いた作品です。

2月6日からNetflixで配信が始まったため、第1話を視聴しました。

本作は、放送当時「月曜の夜は街からOLが消える」とまで言われるほどの社会現象を巻き起こしたドラマです。初回視聴率は30.6%という驚異的な数字を記録し、最終回では36.7%まで上昇して、有終の美を飾りました。

脚本を手がけたのは、「ビューティフルライフ」や「愛していると言ってくれ」など、数々の名作を生み出してきた北川悦吏子です。また、久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」は、物語の幕開けを華やかに彩る主題歌として、今聴いても色あせない魅力があります。

冒頭、花嫁衣装のまま街中を駆け回る山口智子の姿は強烈で、一気に物語の世界へ引き込まれます。

婚約者に逃げられた南(山口智子)と、繊細なピアニストの卵・瀬名(木村拓哉)が、すれ違いながらも少しずつ距離を縮めていく様子は、次の展開への期待を高めてくれます。

瀬名が思いを寄せるピアノ科の後輩を演じる松たか子も、30年前なので初々しく、まさに役にぴったりです。さらに、広末涼子も途中から登場するようで、豪華な共演陣にも楽しみが広がります。

第1話の終盤では、些細な出来事をきっかけに互いの本音がぶつかり、南と瀬名は激しく言い争ってしまいます。

瀬名は思わず「なんで男に振られた30女と一緒にいなきゃいけないんだ」と口にしてしまい、南の怒りを決定的なものにします。

「今、核ミサイルの発射ボタン押したね。じゃあ、出ていけばいいんでしょ」と言い残し、南は荷物をまとめて部屋を飛び出します。

残された瀬名は、部屋にあった南の履歴書を目にし、今日が彼女の誕生日だと気づきます。

「荷物は、あんたがいないときに取りに来ますから」と言って去る南に、瀬名は3階の窓から声をかけますが、彼女の決意は揺らぎません。

そのとき瀬名は、ピアノで「ハッピーバースデー」を弾き始めます。

外でその音色を耳にした南は足を止め、建物を見上げ、壁にもたれながら静かに聴き入ります。そして、再び部屋へ戻るのです。言葉ではなく音楽で人の心を動かす展開に、深く胸を打たれました。

一方、この大ヒット作に主演した山口智子は、「ロングバケーション」出演後、映画やドラマへの出演が約8年間途絶えます。1月18日放送のテレビ番組「日曜日の初耳学」では、当時の心境について語っています。

「自分が何を学び、どう成長して皆さんに面白いものを届けられるのか分からなくて、本当に“ごめんなさい”という気持ちしかなかった」と、大きな反響に戸惑っていたことを明かしました。

また、「もともと自信がなく、演技ができると思ったこともない。役作りも今でもよく分からない」と、長年胸に抱えてきた率直な思いも語っています。

そんな彼女を強く惹きつけたのが“旅”でした。

「もっと勉強したい、世界を知りたい、出会ったことのない人に会いたいという気持ちが大きくなって、旅に出ようと思ったんです。何年も、旅から旅へと過ごしていました」と振り返ります。

演技の仕事については、「こちらから門戸を閉ざしたことは一度もなかったが、日本にいない時期が続き、いつの間にか時間が過ぎていた」と、8年間の休業についても率直に語りました。

ドラマの中で“ロングバケーション”を演じた山口智子さんが、現実でも長い「ロングバケーション」を過ごしていたという事実は、どこか象徴的に感じられます。


参照:【山口智子】今が“人生最高潮”!ライフワークに熱中する姿に「憧れる」「カッコいい!」