「水戸・ネイリスト妊婦殺害」と名付けられた事件は、現在も繰り返し報道されています。事件名に「ネイリスト」と被害女性の職業が含まれている点は、やや異例だと感じます。

●「事実無根。何も知らない」と容疑を否認
昨年の大みそか、茨城県水戸市にある自宅アパートで、ネイルサロンを経営していた小松本遥さん(31)が血を流して倒れているのを、帰宅した夫(27)が発見し、119番通報しました。



小松本さんの首には刺し傷があり、頭部にも鈍器で殴られたような痕が複数確認されました。病院に搬送されましたが、死亡が確認されています。茨城県警捜査一課は殺人事件と判断し、1月2日に水戸署に捜査本部を設置しました。小松本さんは妊娠中だったといいます。

その後、約2年前に小松本さんが飲食店で知り合った大内拓実容疑者(28)が、殺人容疑で逮捕されました。

社会部デスクは、次のように捜査の経緯を説明しています。


「小松本さんは過去に結婚歴があり、10年ほど前には人間関係のトラブルを理由に、県警へ3回相談していました。現在の夫と再婚する前は水商売に従事しており、当時の交友関係も捜査対象となりました。粘り強い捜査を進めるなかで、かつての交際相手だった大内容疑者が浮上し、事件発生から3週間で逮捕に至りました」

大内容疑者は、小松本さん殺害について「事実無根。何も知らない」と関与を否定していましたが、県警は1月22日、殺人容疑で水戸地検に身柄を送致しました。

捜査幹部は集英社オンラインの取材に対し、事件の背景を次のように語っています。


「大内容疑者と被害者は一昨年に交際しており、破局後の昨年5月から6月ごろにかけて、電話やSNSで執拗な連絡がありました。さらに事件直前の昨年12月下旬、被害者から警察署に匿名で『ストーカーの相談はどこに行けばいいのか』という問い合わせがあったことも確認されています。

その際、生活安全課が窓口であると伝え、氏名を名乗って来署するよう説明しましたが、『今は難しい』として面談には至りませんでした。背景として、同年10月ごろ、大内容疑者が共通の知人に小松本さんの居場所をしつこく聞き回っていた事実も判明しています」

●「年上で姉さん女房なんだ」と語っていた
大内容疑者と面識のあった茨城県内の飲食店店員は、次のように証言しています。

「大内くんはよく店に来ていました。同級生と一緒に飲みに来ることが多く、『オオウチ』と呼ばれていましたね。明るくて話好きな印象です。運送関係の仕事をしていることは知っていましたが、職を転々としていたようで詳しくはわかりません。

昨年末も常連の友人から飲み会に誘われていましたが、『忙しい』と言って姿を見せなかったと聞いています。その一方で、2、3年前に小松本さんと思われる女性を連れて来店したことがありました。

当時の彼女は派手な雰囲気で、キャバクラで人気があると聞いていました。2人の出会いもキャバクラだったそうです。大内くんは『初めての彼女』『年上で姉さん女房なんだ』と嬉しそうに話していましたし、女性も楽しそうでした。後日、友人から『彼女はネイリストだ』と聞き、小松本さんだと思いました」

中学時代の同級生も、大内容疑者について語っています。


「最近の様子は知りませんが、中学の頃は優しい印象でした。少しやんちゃではありましたが、不良という感じではありません。剣道部に所属していて、卒業後はバイクが好きでよく乗っていましたが、暴走族に関わるようなタイプではなかったです」

● ぬいぐるみに仕込まれていた発信機
捜査の過程で、発信機が入ったぬいぐるみが「懸賞当選者へのプレゼント」とする手紙とともに、小松本さんの実家に送られていたことが判明しました。ぬいぐるみの中には、位置情報を送信する紛失防止タグが入っており、その情報は大内容疑者のスマートフォンに送られていたといいます。

ぬいぐるみはテーマパーク運営会社名義で配送され、実家に置き配された後、小松本さんの自宅で保管されていました。警察は、この発信機を使って大内容疑者が自宅の場所を特定した可能性があるとみて調べています。

中学時代の同級生の母親は、次のように話します。

「中学時代は浮いた話もなく、特別モテていたわけでもありませんでした。ただ、少し注意散漫なところや、一度興味を持つと執着しやすい面はあったように思います。それでも、人を殺すような事件を起こすとは想像できず、周囲では『本当にあいつなのか』と話題になっているそうです」

優しい人物という印象を持たれていた容疑者が、かつて交際していた女性が結婚した後も執着を捨てきれず、殺害に至ったとすれば、その一途さは恐怖に変わります。

また、ぬいぐるみに発信機が仕込まれていた事実から、信頼できる相手以外からの贈り物を安易に受け取る危険性も浮き彫りになりました。

発信機だけでなく、小型カメラなどを仕込まれる可能性もあり、音声や映像を通じた情報収集も不可能ではありません。身近なところに潜むリスクを感じさせる事件です。

大内容疑者は物証が多く残るなかでも否認を続けています。凶器は見つかっていませんが、小松本さんは刃物のようなもので首を刺されたほか、頭部を鈍器のようなもので殴られたとみられています。警察は、複数の凶器が使われた可能性があるとみて捜査を続けています。

参照:〈水戸・ネイリスト妊婦殺害〉「オンナってものはさ~」キャバクラで出会った彼女にストーカー
            「懸賞の当選者へのプレゼント」…逮捕された男が女性に送ったとみられる発信機入りぬいぐるみ