数日前に目にしたニュースですが、非常に示唆に富む内容でした。これほど重要な出来事でありながら、あまり注目されていない点には驚かされます。武器ではなく知略によって状況を覆した点に、強い印象を受けました。

ウクライナ侵攻を続けるロシアは、思いがけない形で国家の弱点を突かれました。軍事行動ではなく、「キーボード」だけを用いたハッカー集団の攻撃により、航空網が機能不全に陥ったのです。その結果、ロシア最大の航空会社であるアエロフロートは業務停止に追い込まれました。

7月28日の早朝、アエロフロートを標的としたサイバー攻撃が発生し、その影響は瞬く間にロシア全土の空港へと広がりました。

社員が業務で使用していたITシステムは全面的に停止しました。利用者向けの予約・発券システムにとどまらず、空港運用、通信やメール、文書管理、IT管理の各システムが使えなくなり、さらに機材整備や乗務員配置、燃料補給を管理する運行管理システムもすべてダウンしました。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、予定されていた260往復便のうち56便が欠航となりました。チケットの払い戻し機能も停止し、利用者は公式サイトにアクセスすることさえできない状況に陥りました。

空港スタッフは、殺到する乗客に対し、コンピューターを使わずに対応せざるを得ませんでした。社員は必要な情報をかき集めてExcelに整理し、飛行ルートは大きな紙に手書きで書き直したといいます。

損失額は最大で5億ルーブル、日本円でおよそ10億円に達するとの見方もあります。株価は3.9%下落し、モスクワ・タイムズ紙は「国営航空会社にとって深刻な災害だ」と報じました。

その後、親ウクライナのハッキンググループ「サイレント・クロウ」が、自分たちの作戦だったと声明で明らかにしました。同グループは、政治的な目的を持つ、いわゆるハクティビスト集団です。

ガーディアン紙は、ベラルーシの別のハッカー集団「サイバー・パルチザンズ」との国際的な共同作戦だったと伝えています。サイレント・クロウは、1年にわたる潜伏と準備を経て攻撃を実行し、計7000台のサーバーを破壊したと主張しています。

参照:プーチンに「軍事力ゼロ」で挑み、完勝…「ハッカー集団が暴いたロシアの急所」