東京・西東京市と練馬区で事件が発覚しました。ひとつは無理心中、もうひとつは殺人事件で、この二つの関連する事件がどのように結びついているのかがとても気になります。
● 無理心中の疑い
12月19日、夕方に自宅へ帰ったばかりの男性から110番通報がありました。
「誰もいないはずの自宅にチェーンロックがかかっている。中から物音もする」
駆けつけた警察官らが自宅の2階で、この男性の妻(36)と息子3人が倒れているのを発見しました。大手紙社会部記者が話します。
「一家は5人家族でした。自宅の洋室で、刃物で切られたような傷がある母親と長男(16)が倒れており、血のついたオノと包丁が見つかりました。次男(11)と三男(9)は寝室で倒れており、首を絞められた跡があったようです。
その後、4人はいずれも救急搬送されましたが、まもなく病院で死亡が確認されました。捜査関係者によれば、父親と母親は遺体発見の直前までメッセージのやり取りなどをしていたといい、無理心中の疑いが強いとみて捜査が進められています。」
子ども3人は、これから将来に向けて羽ばたいていくはずだった道をすべて絶たれることになりました。一家に何が起こったのか、その背景には何があったのかが問われています。
そしてもう一点、微妙に気になるのが、自宅にチェーンロックがかかっているということで、すぐに警察に通報したという点です。ドアを開けるだけであれば、他に方法はなかったのでしょうか。中から物音がしたというのは、誰が発した音だったのか。その時点で、まだ生存者がいたのでしょうか。
● 茶髪っぽい美人なお母さん
心中があった一家の周りは一戸建てが立ち並び、7〜8軒ほど似たような物件が連なる区画です。ある近隣住民の女性は「(事件当日の)金曜日に仕事に出ていく旦那さんを見たばかりで……」と驚きを隠せない様子でした。さらに別の30代女性は、一家の様子をこう話しました。
「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さんでした。朝、家の前に停めてある車で仕事かなにかに出かけていくのを、よくお見かけしていました。旦那さんとお子さんが自転車でどこかに遊びに行っていることもあって、普通に仲のいいご家庭だと思っていました。
どういう人かと言われても『普通の一家』としか言いようがありませんが、奥さんは3人お子さんがいるようには見えない、きれいな方でした」
なかには、こんなことを話す人物もいました。
「個人的な付き合いがなかったので多くは言えませんが、日中は家にいることが多く、社会に出ているお母さんではないのかなと思っていました。というのも、コミュニケーションが苦手な女性だという印象があって、私が挨拶をしても無視されるようなことが何度かあったので、あまり関わらないようにしていました」(近隣住民の30代男性)
● 十数か所の刺し傷や切り傷
12月22日、西東京市で心中したとみられる母親が3月から契約していたマンションで、会社員の中窪新太郎さん(27)の遺体が見つかりました。マンションは一家の自宅からおよそ5.5キロ離れた、練馬区の賃貸物件でした。
中窪さんは、今年3月からこのマンションで一人暮らしをしていたといいます。マンションの住人によると、ほとんどの部屋が1LDKで、家賃は11万円前後だということです。
「19日に西東京で、母親と息子3人が倒れているのが見つかった事件で、家と車内を捜索したところ、母親名義の南田中のマンションの契約書が見つかりました。関係先として捜索する必要があるとして、22日に田無署の捜査員が捜索差し押さえ状を持って入りました。
そこで、テープで目張りされた寝室のクローゼット内で男性を発見しました。そして午後7時50分、臨場した救急隊員が社会死(身体の状態から、誰が見ても亡くなっている状態)と認定しました。
また、中窪さんの携帯電話が母親の車の中から発見されたことも、新たに分かりました。携帯電話からは、親子が死亡する3日前に、中窪さんの会社関係者宛てに『体調不良で会社を休む』というメッセージが送られていました。
司法解剖が行われていますが、中窪さんの身体には十数か所の刺し傷や切り傷が見つかっています。特に、腹部、左大腿(だいたい)部、右肩背部、右人さし指の付け根の4か所の傷が深いです。遺体は腐敗が進んでおり、リビングのソファの上から牛刀とみられる刃物が見つかっています」(社会部記者)
中窪新太郎さんに十数か所の刺し傷や切り傷を負わせている点から、かなり強い殺意を感じる殺害に見えます。また、中窪さんが別の場所への居住歴も持っていたことから考えると、亡くなった母親が部屋を借りて彼に提供していた可能性が考えられます。
● 中窪さんは「優しい印象」
中窪さんはマンションの1階で暮らしており、亡くなった母親とは年の離れた数年来の「知人」でした。あるキー局社会部記者は「心中した一家の自宅から中窪さん宛ての手紙が見つかりました。交際関係の線も視野に入っています」と話します。
一軒家に住み、家庭をもつ母親が賃貸物件を借りるというと、伊藤ゆかりがNHK朝の連続テレビ小説『ひらり』(1992年)で、伊武雅刀さん演じる夫と別居する妻を演じていたのを思い出します。しかし、当事件では母親本人ではなく、数年来の知人である中窪新太郎さんが住んでいました。この男性の存在を、夫は知っていたのでしょうか。
奈良県出身の中窪さんは達筆で、小学生の頃から地元の習字コンクールで何度も入賞していました。
数年前から中窪さんが住むマンションの配達を担当しているという男性配達員は、驚きを隠せない表情でこう語ります。
「無言でインターホンを切る人も多いのですが、亡くなった男性は必ず応答してくれて、『お願いします』の一言がありました。優しい印象で、いつも落ち着いた口調でした。最後に荷物を届けたのは1か月ほど前でしょうか。週に1回、ネットショッピングを利用しており、このマンションの中では利用頻度が一番高い家でした。
女性の声は一切聞いていません。荷物は大きいときもあれば小さいときもあり、すべてばらばらでした。時には大きくて重たい段ボールケースもありました」
社会部記者によると、中窪さんと母親は数年前に知り合った仲だということです。
● 母親と練馬の接点
この事件との直接的な関連は分かっていませんが、母親と練馬の接点についての情報も出てきています。
西東京での事件直前の午後5時ごろ、母親から夫に対して「練馬で待ち合わせ」とLINEが来たといいます。
それに対して夫が電話で「練馬で待ち合わせと聞いたけど、どこにいるの?」と尋ねたところ、母親は電話を切り、その後連絡が取れなくなったということです。
元埼玉県警の佐々木成三さんは、この件について次のように見解を述べています。
「これも、点が線になっているひとつの状況証拠になると思います。『練馬』という言葉が母親にとってどういう意味だったのか。この時系列で見ると、練馬ではすでに事件が発生したあとになります。こうした点から、警察は母親の関与を疑って捜査しているのだと思います」
参照:〈西東京・無理心中に新展開〉母親と“親しい”年下男性が牛刀で何度も切られ死亡
西東京・母子4人死亡 亡くなった知人男性の携帯電話が“母親の車内”から見つかる
被害男性と母親は“交際関係”か…事件直前に「練馬で待ち合わせ」夫にLINEも事件の関連は

