台湾で、男が無差別に通行人を刃物で切り付け、14人が死傷した事件が発生しました。警察によりますと、政治的思想に基づくテロではないとみられています。

 

では、犯行の目的は何だったのでしょうか。自殺の道連れとして人を殺そうとした可能性も指摘されています。この事件は、2008年に25歳の加藤智大が起こし、7人が死亡、10人が重軽傷を負った秋葉原通り魔事件を思い起こさせる、陰鬱な印象の事件です。

● 突然の凶行 3人が死亡し、11人が重軽傷
事件は12月19日、台北駅の出口付近で起きました。27歳の台湾人男性、張文(チャン・ウェン)容疑者が発煙弾を投げたうえ、台北駅や周辺の繁華街で次々と通行人を切り付けました。これまでに3人が死亡し、11人が重軽傷を負っています。張容疑者は近くの書店や百貨店に立ち入った後、警察に包囲され、逃げ込んだビルの6階から飛び降りました。その後、病院で死亡が確認されたと警察は発表しました。

張容疑者の両親は台北に駆け付け、病院で遺体を確認しました。その際、「2年以上、息子とは連絡を取っておらず、家にも戻っていなかった。このような行動に出るとは思わなかった」と心境を語りました。高雄に住む兄も、「弟の状況は全く把握していなかった」と話しています。

張容疑者は17日、台北市南京西路にある「千慧旅館」に宿泊し、室内でガソリン瓶を製造していた疑いがあります。その後、台北市中山区で路肩に駐車していた車やバイクに放火し、さらに自身の賃貸アパートにも火を付けました。警察や消防が消火活動に追われる中、張容疑者は刃物や発煙弾、ガソリン瓶を持って台北駅へ向かい、男性を刺して死亡させました。

● タブレットに残された計画
台湾メディアによりますと、張容疑者は事件の数日前からホテルに滞在しており、部屋から押収された2台のタブレット端末には「犯行計画書」が保存されていました。計画書には犯行の日時や場所に加え、「先に発煙弾を投げ、その後に切り付ける」といった手順が記されていたほか、地図上に赤枠で「攻撃」と入力されていたということです。

● 招集拒否で指名手配
警察当局によりますと、張容疑者は2021年に自ら志願して台湾空軍に所属しましたが、翌年、飲酒運転を理由に除隊となりました。今年7月には、予備役としての招集に応じなかった容疑で指名手配されていました。19日に宿泊していた宿泊施設の部屋などを調べたところ、火炎瓶も見つかっています。

張容疑者が侵入した百貨店で勤務していた38歳の男性は、朝日新聞の取材に対し、「刃物を持った男が百貨店の4階でも人を襲っていた。男が通った後には血痕が残っていた」と証言しました。

また、当時職場から帰宅しようと中山駅へ向かっていた29歳の男性は、「多くの人が『怖い』と叫びながら駅から逃げていた。路上には血痕が広がっていた」と話しています。

張容疑者については、兵役処罰法違反の疑いで今年7月11日に逮捕状が出されていました。現在も事件の捜査は続いていますが、桃園地検は、張容疑者が既に死亡していることから、兵役に関する事件では起訴しない方針を示しました。台北地下鉄事件については台北地検が担当し、犯行の動機は依然として明らかになっていません。

参照:台湾・台北での14人殺傷事件 張文容疑者のタブレットに「犯行計画書」地図に「攻撃」入力
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