Netflixシリーズ『BEAST -私のなかの獣-』は、息子を失った女性作家が隣人の殺人疑惑に執着していく心理スリラーで、全8話から成っています。静かな駆け引きと予測不能な展開が魅力的です。息子を亡くした深い悲しみと喪失感を抱える主人公が、その心の穴を埋めるかのように隣人への執念に駆られていくドラマです。

サスペンスの巨匠アルフレッド・ヒッチコックの作品を彷彿とさせる、じっくりと深まる心理的な駆け引きが展開されます。

現在、3話まで視聴したところですが、1日1話に抑えようと思っても、見始めると止まらない面白さがあります。製作総指揮はハワード・ゴードンで、彼は「HOMELAND」や「24 -TWENTY FOUR-」などの優れたヒット作に関わっています。

主人公アギー役のクレア・デインズと、隣人ナイル役のマシュー・リスという演技派俳優陣の競演が見どころです。彼らの繊細な表情や静かな演技の応酬が、作品に緊張感を与えています。

主人公を演じるクレア・デインズは、緊張した場面で言葉を発する際に微妙に唇が震えます。その細かな表情の変化が、見ているこちらにも緊迫感を伝えてきます。

奥さんが行方不明で、実は殺害したのではないかと疑われている不動産王の隣人ナイル役のキャラクターが、物語の面白さを引っぱっていきます。顔は見ているだけで不安になってくるような冷たい眼と怖さを秘めています。

作家であるアギーにサインをもらったお礼に「お昼をおごらせて」と食事に誘う場面では、最初にアギーが断ろうとします。
「僕との食事に大金を払った人もいる。本当だよ。10年前、慈善目的の競売で私の昼食券が落札された」
「私だったら価値あるものに寄付します」と、アギーは苦笑いで答えます。
「なんて冷酷な人だ。自覚はある? いつか隣人の助けが必要になるかもよ。長くて1時間だ。車で送るよ」
と、強引に約束を取ってしまいます。

そして、アギーとの食事の席で、彼女が誰の伝記を書いているかを聞いて、ナイルはあくびをかみ殺すしぐさをして「眠気をさそう」と伝えます。アギーは「希望をもたらす物語だと思います」と反論します。

「誰も希望など求めていない。求められているのはゴシップと大虐殺だ。ベストセラーを狙うなら僕の本を書け。僕はクソ面白いぞ。それにネタの宝庫だ。世間は何も知らない」
このナイルの自分に対する絶対的な自信と強引さ、そして危険さが魅力的です。



主役のクレア・デインズは、アギーの物語に強く惹かれたと語っています。「これまで演じたことのない要素をワイルドに混ぜ合わせたようなキャラクターで、そこがすごく好きでした。彼女はとても内向的で、コントロールが利いていて、抑制的でもある一方で、動物的なエネルギーも秘めています。その対比がとても面白かったです」と話しています。

「そして、彼女は隣人というありそうもない、しかも非常に危険な“ソウルメイト”を見つけるの。ちょっとヒッチコック風だと思った。上品で、おぞましい」と、すぐに親しくなるナイルとの関係について付け加えています。

参照:Netflix新作ドラマ『BEAST -私のなかの獣-』はヒッチコック風スリラー?惹かれた理由