前橋市の小川晶市長(42)は、市職員と十数回ラブホテルに行った件について「公私にわたる相談のためだった」と説明してきました。
● 市民に誠実なリーダーを
しかしその小川市長は、27日付で辞職しました。次の市長選に立候補するかどうかについては「市民の声を聞いて判断したい」とのみ述べています。
記者から「晴れやかな表情だ」と言われた際には笑みを浮かべ、「普段から前向きな気持ちで仕事をしているが、今日は最終日でもあり、自分の中で気持ちの整理のついた表情だったと思う」と答えました。
一方で、群馬県の山本一太知事は定例会見で「前橋のブランドイメージが傷ついた。影響が広がっていることを考えると、辞職の判断が遅かった」と厳しく批判しました。さらに次の市長選について「市民にうそをつかない清廉なリーダーを選んでほしい」と期待を述べました。
小川市長は出馬を明言していませんが、職員との不適切な関係をめぐって山本知事は「個人的な恨みはないが、再選は認められない」と市内で記者団に話しています。
次の市長選については、強力な支援基盤がないかぎり、小川前市長も田久保前市長も当選は難しいと感じます。結果はどうなるのでしょうか。
● 女性問題への反応「それが何か?」
今回の問題が大きく受け止められた背景には、相手の職員に家庭があったこと、そして小川市長がその事実をごまかしたように見えたことがあるでしょう。これが不信感を決定的にしたように思えます。
ただ、日本では不倫問題が過度に注目される傾向があります。フランスの政治文化では、個人の恋愛問題を公的な評価軸に持ち込まないと言われています。ミッテラン元大統領やオランド元大統領にも公然のパートナーがいましたが、国全体を巻き込む批判には発展しませんでした。
ミッテラン氏は妻ダニエルとの家庭を持ちながら、長年のパートナーであるアンヌ・パンジョとの間に娘をもうけています。ダニエル夫人にも別の交際相手がいたとされます。就任直後の記者会見で女性問題を問われた際、彼が“Et alors ?”(「それが何か?」)と答えた話はよく知られています。
フランスの価値観から見れば、日本の「不倫」への過熱ぶりは奇異に映るかもしれません。最終的には当事者同士の問題であるにもかかわらず、重大犯罪のように扱われてしまう風潮は、改めて考える必要があるでしょう。

● ”謀略論”と市長選の行方
ヤフーコメントには「小川市長の子育て支援に魅力を感じて前橋に移住した」という声もありました。実際、昨年の初予算案では子育て関連が大幅に強化されていたと報じられていました。本来ならば、市長としての実績と政策を基準に評価されるべきでしょう。
今回の辞職では「ラブホテル」の文言ばかりが独り歩きし、ネット上では次のようにその言葉を含む書き込みも並びました。
・玉木は許されたのに
・公約「少子化対策としてラブホ増やします」
・ラブボに選挙事務所を構える
・伊東市の市長と違って半年以上働いてたんだから退職金とボーナスくらい出してやれよ
・裏切られた感のオッサン票も不潔よ~の主婦票も期待できないのに勝てるの?
さらに、小川市長の友人である入澤繭子議員が「内部リークによる尾行があった」と示唆した件、また市長選に関わったお祭りコミュニティに反社会的勢力の疑いがかけられ、警察が事情を確認したとされた件など、説明が途中のままの問題もあります。
ところが、市長の辞職によって、これらの疑惑はうやむやのまま消えてしまいそうです。今後の市長選とともに、こうした問題がどのように整理されるのか注視する必要があるでしょう。
参照:【速報】「市民にうそをつかない新しいリーダーを」小川晶市長の辞職意向を受け
【ラブホ不倫疑惑で辞職の前橋市長】出直し選出馬へ
“ホテル密会” 前橋市の小川市長が辞職で「晴れやかな表情」に?
