赤坂のライブハウス前で女性歌手が刺され重傷を負った事件で、陸上自衛隊の大津陽一郎容疑者(43)が逮捕されました。
警視庁によると、被害女性は40代で、ライブ出演のため現場に向かったところ、地下1階の会場前で1人で待っていた際に襲われたということです。腹部や手のひらに大きなけがを負いました。
● 「心当たりはない」しかし2人は過去に交際
女性は搬送時、犯人の心当たりはないと話したものの、防犯カメラには黒い服に白い靴の男が自転車で去る姿が映っており、この人物が大津容疑者とみられています。
大津容疑者は「9年前にSNSで知り合い、交際していた」と供述。23日には自宅から女性と写った写真も押収され、数年前に撮影されたもので誕生日を祝う場面とみられています。
取り調べに対しては、「家族がいることを隠して女性と交際していたが、今年6月に別れを告げられ、円満に関係を終えた。トラブルはなかった」と話しているといいます。
● 「まじめでおとなしい」周囲に広がる動揺
大津容疑者は約25年勤務する中堅隊員で、家庭もあり、周囲にはまじめで仕事熱心な人物として知られていました。
知人は「酒も控え、休みにはランニングをするような人物だった。何があったのか知りたい」と戸惑いを隠しません。
同級生の親を名乗る女性も今回の事件に驚きを隠せません。
「だって有名な地主の息子ですよ? 最初はたまたま名字が一緒だと思っていたけど、嫌な予感が的中してしまった。ニュースで顔を見たけど、風貌(ふうぼう)が変わっていて本当に陽一郎ちゃんなの?と疑ってしまった。
息子とは正直関わりがなかったけれど、狭い世界だから、少しは知っている。本当にパッとしない印象でおとなしい感じです。女性関係の話も全く聞いたことがありません。授業参観では積極的に手を挙げる子どもではなく、本当に印象が薄くて……。ただの“おとなしいおぼっちゃま”という感じです」
事件が起きた日は日曜日で、翌17日には通常どおり勤務していたといいます。自衛隊側は「休日の行動に報告義務はない」と説明し、「捜査に全面協力する」とコメントしました。
● 計画性をうかがわせる行動
防犯カメラには、容疑者とみられる男がライブハウス前に掲示された女性のポスターにバツ印をスプレーで描く様子も映っており、強い敵意がうかがえます。
事件当日、大津容疑者は駐屯地を出てから戻るまでに4回も着替えをしていたことや、手袋・靴カバーを使用していたことも判明し、犯行を隠そうとする意図が見て取れます。
しかし、交際の過去がある以上、疑いが向くことは予測できたはずです。逃走時には自転車を使用し、その行き先が勤務先の朝霞駐屯地だったことまで警察は把握していました。
警視庁は防犯カメラをつなぎ合わせる「リレー捜査」で足取りを追い、関与が濃厚と判断しました。容疑者は否認しているものの、これだけ状況が明らかになっている中で、その主張には説得力を欠いているように見えます。
参照:〈赤坂ライブハウス×印襲撃〉「9年前に知り合い、6月に円満に別れた」自衛官はおぼっちゃま
「9年前に知り合い交際」赤坂女性刺傷事件で逮捕された43歳自衛官は容疑を否認
