アマゾンの奥地に住む「イゾラド」という部族は、今まで文明と接触したことがないとされています。その部族に関するドキュメンタリーが、NHKスペシャルで20日0:35から再放送されます。

2016年に放送され、大きな反響を呼んだNHKスペシャル「イゾラド」の続編にあたるとのことです。

「イゾラド」と呼ばれる人々の写真を見ると、ほぼ全裸で生活しており、視線が鋭いと感じました。

NHK取材班は10年前から取材を行っており、かなりの時間をかけて丁寧に制作された注目度の高い番組であることがわかります。

また、DVD化もされています。全2枚組で、1枚目は「沢木耕太郎 アマゾン思索紀行 イゾラド ~アマゾン・『隔絶された人々』~」というタイトルで、作家の沢木耕太郎がどのように番組に参加しているのかに興味を引かれます。語りは役所広司です。

2枚目は「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」で、語りは松田龍平です。

● イゾラドが100人を超える集団で現れ
2024年10月、南米アマゾンの深い森の奥に暮らす彼らが大集団で10年ぶりに姿を現します。さらに、10年ぶりに現れた彼らの様子は大きく変わっていました。

目の当たりにしたのは、アマゾンの奥地にまで押し寄せる文明社会の膨張です。私たちの営みが、原初の生活様式を守ってきた彼らの暮らしを破壊し始めている現実であると言われています。

実はその数日前、イゾラドに関する衝撃的なニュースが飛び込んできました。イゾラドが100人を超える集団で現れ、集落の人々に矢を放ったとされています。住民たちは、集落からプエルト・マルドナードへの緊急避難を余儀なくされているとのことです。

4年10月21日、集落の対岸に現れたというイゾラドに、村長のロメルたちがいくつか言葉を投げかけてみたところ、集落で使われてきたイネ族の言葉の一部が通じたといいます。そこで、ロメルを中心に住民たちはイゾラドの食糧であるバナナを準備し、ボートに積んで提供しました。

バナナを受け取ったイゾラドは、落ち着いた様子になり、6時間のやりとりを行った後、一度は森に戻っていきました。久しぶりに現れた彼らとコミュニケーションを図れたことに安堵していた集落の住民でしたが、その直後、衝撃的な光景を目の当たりにします。

イゾラドが去った場所で、集落で飼われていた犬が死骸で見つかりました。下腹部に矢が突き刺さり、足は切断されていました。

この日の後、再び現れたイゾラドはより攻撃的な態度を示していきます。3日後には、対岸から鋭い視線をこちらに向け、威嚇するような仕草を見せます。そして、住民がスマートフォンで撮影しているのを見つけると、「あっちへ行け」と石を投げつけてきたのです。

何かがおかしい――。その不安は的中します。10月26日、イゾラドは背後から矢を放ち、集落の男性に瀕死の重傷を負わせたのです。右肩から侵入した矢は心臓から数センチの所まで達したといいます。

● 進むアマゾン奥地の環境の変化
このような事件もある中での取材なので、NHK取材班もずいぶん危険な撮影に挑んでいて大変だと思いました。

イゾラドの暮らしを脅かす圧倒的なスピードで進むアマゾン奥地の環境の変化として、1年前は電波が通じなかった集落でも、Wi-Fi通信が可能になりました。また、道路が通ったことで物流が盛んになり、森の奥地の集落でも冷たいビールが飲めるようになったことを挙げています。

子どもたちはスマートフォンでSNSやゲームに興じ、大人は動画ストリーミングサービスで海外の映画やドラマを楽しみます。そこで目にする新たなサービスや商品を望み、さらに多くの現金収入を求めます。

これらのことがどこまでイゾラドの静かな生活を脅かすことになったのか。番組を見ながら考えていきたいと思いました。

イゾラドの人々には、文明に影響されることなく自然の中でそのまま生きてほしいと願っていますが、一度入ってきた文明の波を排除することは難しいと思います。

イゾラドは、非接触部族というカテゴリーに該当します。非接触部族とは、特定の単一の部族名ではなく、文明と接触したことがない、または偶発的な接触しかない先住民を指す総称です。非接触部族の数は100〜200部族ほどで、部族民の全人口は最大1万人と推定されています。

「先住民族の権利に関する国際連合宣言(UNDRIP)」は2007年に採択された宣言ですが、法的な拘束力はありません。先住民族の自決権、土地・領土に対する権利、強制的な同化や文化の破壊を受けない権利などが認められています。

しかし、法的な拘束力がないというのは、心もとない感じがします。未接触部族を直接的に保護するための単一の世界的な法律(条約)が必要と思いました。

 

参照:「集落の男性は瀕死の重傷」「犬が死骸で…」アマゾン奥地に暮らす“イゾラド”が10年ぶりに出現

               イゾラド”最新作 森の奥から再び“未知の人々”が