家族3人をクロスボウで殺害した罪などに問われている兵庫県宝塚市の、無職野津英滉(ひであき)被告(28)のNEWSポストセブンの記事を読んでいると、あまりに救いのない家族の話が続くので、気持ちがどんよりと重くなっていくような気分になります。
3人を殺害したのでは、死刑にならないので4人まで殺害しようとして伯母も殺害予定に入れていたというが、いつもこのような事件が起きるたびに言われるが、死にたいのであれば人を巻き込まずに、自分一人で自殺すればいいだけです。被告の言動は、死刑と言う名の自殺を手に入れる為に家族への恨みを裁判で述べて正当化しているように思えます。
本人の身勝手さから生じた犯行だと考えますが、野津被告の供述は犯行後のものであり、全てを鵜呑みにすることはできません。しかし、その内容は以下に示すように特異な家庭環境を印象づけています。
被告人は家庭環境についての説明から始まり、死刑になるために行った殺人の理由を語ります。
● 日常的にベロを舐め合ったり
両親は、弟が生まれた直後に離婚しました。父は母に対して「こちらの方が被害者だ」「こんな人に子供を育てられるわけがない」と親権を主張しました。
被告人は小学生の頃から、母と弟と3人で生活していました。母は先天的なアスペルガー症候群と発達障害を抱えていました。被告人自身は小学生の時に自閉症スペクトラムと診断され、弟は多動性障害を持っていました。
母と弟は、日常的にベロを舐め合ったり、同級生がイチャイチャとじゃれあうような関係を築いていました。食事はカップ麺の上に白ご飯を乗せたもので、「小学生が考えそうなもの」でした。最初はそれが普通だと思っていましたが、学校で同級生の弁当と比べて「少し違うな」と感じるようになりました。
被告人は弟のことを「余計なことをするクソガキ」と表現しました。弟は被告人が嫌がることをわざとし、自分のわがままが通るまで駄々をこねました。
母親は怒ると口を利いてくれなかったり、物を壊したり、行き先を告げずに家を出て外泊することがありました。中学生になって、被告人は「母の資質に疑問を持った」「親としての資格がないのではないか」と思い、ストレスが溜まり暴力を振るうようになりました。
そんな家族関係のストレスも影響してか、中学生の頃から被告人は強迫性洗浄障害と診断されました。何度も手を洗い、トイレには1~2時間こもることがありました。それに加えてストレスが溜まり、中学生の時に自殺を考えるようになりました。
● 獲物を見つけたら引き金を引く
被告人は祖母の家に引っ越すなどして環境を変えました。母は弟からの暴力を受けて音信不通になりましたが、戻ってこない方が良いと思っていました。しかし、しばらくして弟も「自分の部屋が欲しい」と言って祖母の家に来ました。母が来た時は、「来るなよ」と思いました。
高校に入ってからは問題を起こさなかったものの、パチンコやボーリングで遊び、成績は下の方でした。大学に合格し、2年生の時に法律関係の仕事に就くか警察官になりたいと思い、法学部に転学しました。
同じく大学2年生の時、元々住んでいた団地が新しくなったため、母と弟が引っ越すことになりました。その後、弟が母に暴力を振るった結果、母がシェルターに行ったと聞きました。
祖母については、被害妄想が強い人だと認識していました。自分だけが苦労していると思い、責められると言い訳をします。「母の年を取ったバージョン」「母の元凶は祖母」とも表現し、不快感をあらわにしていました。
ストレスの根源は母だが、母を産んだ祖母、そして弟も母の子であるという意味で同じだと感じました。一家を殺すことは、自分の責任、使命、宿命だと考えるようになり、すべてを清算して最後に自ら命を絶とうと思いました。
大学の授業で、3人を殺しても死刑にならないかもしれないと聞きました。叔母も血のつながる一族として、清算の対象にしました。4人を殺せば死刑になると思いました。
ナイフを買ったが、「抵抗があった」として凶器をクロスボウに変更しました。しかし、凶器を変えたとしても当然抵抗感はありました。
被告人のその後の説明から推測はしますと、第二次世界大戦では「獲物を見たら引き金を引く」と条件づけることで、殺傷行為の精神的ハードルが低くなったという記事を見たのだと思われます。
● 人を殺すことは悪いという認識はあった
裁判では、野津被告の犯行時の完全責任能力の有無が争点となっており、10月3日の公判では、精神鑑定を行った医師たちが証人として出廷しました。
医師は、犯行直後の取り調べにおける被告の様子から、発達障害の一種である「自閉スペクトラム症」の症状が見られると指摘しましたが、妄想や幻聴を示唆する発言はなく、精神病の症状は認められなかったと述べました。
また、鑑定時の野津被告については、「人を殺すことは悪いという認識があり、社会的ルールは知っている。一方で、事件について後悔や贖罪の態度は見られなかった」と証言しました。
10月7日には、起訴後に鑑定を行った医師が出廷し、その結果は起訴前の鑑定と同様の内容であると証言しました。
「自閉スペクトラム症の特性として現れやすい極端な思考が、動機の形成に影響を与えた」としながらも、裁判員から「事件の実行に影響しているか」と問われた際には、「あまり関係ないのではないかと思う。本人の意思が大きい」と述べました。判決は10月31日に言い渡される予定です。
参照:「母と弟がベロを舐め合う」「カップ麺の上に白米ごはん」惨殺した野津英滉被告
宝塚クロスボウ殺人事件 「極端な思考に陥りやすい特性が動機形成に影響」
ボーガン4人殺傷事件、鑑定医が「被告に違法性の認識あった」
