「母の待つ里」公開日:2024年08月16日 日本
「母の待つ里」は、浅田次郎による異色の家族小説で、人生に疲れた3人の男女がカード会社から1泊50万円する「ふしぎな村」への招待を受け、初めて会う「母」が待つ場所を訪れる。自分の故郷とは違ったとしても、疑似郷愁を堪能できる物語。
ドラマでは、その村を訪れる都会で孤独に暮らす3人を中井貴一、松嶋菜々子、佐々木蔵之介が演じて、母親役を宮本信子が演じた。初回放送は昨年NHKで8月に放送されたが、ぼくは今年の8月の再放送で見た。
4話に分かれていて、1話めには中井貴一演じる会社の社長が40年ぶりに里帰りする回で、あまりにも物語が心に染みて3回見直した。ぼくは1度見た映画もドラマも、見直すことはほとんどないので、一気に3度というのは初めて。それくらいこのドラマの完成度が高かった。
ほかの回も2回づつ見直した。佐々木蔵之介が主に出演する回の3話めも良かった。定年退職した会社員(佐々木蔵之介)が直後に突然、妻に離婚を切り出される。仕事も失い、妻も失い、子どもにもどこか素っ気なくされる。
そこでカード会社で招待してくれた架空の田舎で待つ母(宮本信子)を訪ねて田舎に旅立つ。すっかり田舎と田舎の母にはまって、移住しようと考えるほど。

ドラマはまずは宮本信子の演技力に驚かされる。みんなのイメージする、一番暖かそうで時には本人の為に言葉をなげかけてくれる「心のふるさとの母親」の人物像を見事に創り上げていた。
動作、表情、なまった会話のイントネーション、昔話を語る時の独特な間合いなど、全て完璧で改めて宮本信子の役者としての魅力に気づかされる。
ドラマは録画しておいたので、母にも見た後でこのドラマを薦めた。母は見終わったのに反応がなかった。
「面白かった?」と、聞いた。
「面白いというより感動で言葉が出ない。宮本信子の演技の上手い事、本当にいいドラマだね。」
母はドラマの余韻にひたっていたのだ。
「私も同じように架空の母親役を山の奥の田舎で演じて、商売にならないかしら?」
などと、母はさっそくドラマに影響されていて笑ってしまった。
