「狂った果実」 1981年製作 日本
 

「狂った果実」と言えば、1956年に雑誌『オール讀物』に掲載された石原慎太郎の短編小説を原作に作成された中平康監督の作品があるが、ぼくが見たのは1981年の根岸吉太郎監督の青春映画。蜷川有紀が第3回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞している。

昼はガソリンスタンドの店員、夜はぼったくりのピンサロ風・暴力バーに勤める生活を送っている青年(本間優二)。彼が知り合ったのは、同じ20歳のデザイン学校に通っている女性(蜷川有紀)。その女性と関係を持ってしまうが、やがてはその女性の為に破滅の道を歩む事になる。

このドラマは藤田敏八監督の「赤ちょうちん」が、かぐや姫の歌うヒット曲「赤ちょうちん」をモチーフに映像化したように、「狂った果実」は、Aliceの歌曲『狂った果実』から着想を得て作成された。

映画の挿入歌「指」という曲がとても良かった。作詞は谷村新司で、「こわれた日々のかけらを 数えるためにこの指は あるのかもしれない」というフレーズがいい。Aliceの曲に、ほとんど心うごかされることはなかったのだが、この「指」という曲は別だった。

映画の出演者の中では、暴力バーの店長役をやった益富信孝がとてもいい味をだしていた。チンピラで、情にはあついのだが賭け事が好きで女を泣かしてしまう悪い男の役がピッタリはまっていた。

この映画は、描いている内容はけっこう重く暴力もあり、最後は血だらけで終わるのだが、物語がテンポよく進んでいくのでどこか軽い感じで見ていられる。何をやっても自分が納得いく方向に進まず、どこか満たされずうんざりしている青年の青春の日々が、描かれている。

そしてヌードも絡みも多く、そのうえ展開も面白い。『根岸吉太郎監督のにっかつロマンポルノ時代を代表する秀作』と、ウィキペディアに書かれているのも納得。