8月20日神戸市中央区のマンションで、住人の会社員片山恵さん(24)が刺殺された。住人女性が階段を下りる男とすれ違った直後、6階で片山さんが倒れているのを見つけたと話していた。県警は、男が片山さんを襲った後、階段を使って逃走したとみて行方を追っていた。

● 女性について「全く知らない人です」
片山さんは大手損害保険会社に勤務していた。上司の男性は「明るく元気で仕事に真面目だった。突然のことで、信じられない」と話した。

同僚の20歳代の女性は、1週間前に片山さんらと食事に行ったばかり。「恵は陽気で人からかわいがられるタイプ。恋愛の話もよくしたけど、男性とのトラブルや悩みは聞いたことがない」と語った。

東京都新宿区の会社員・谷本将志(まさし)容疑者(35)は8月22日に東京都内で確保された。兵庫県警葺合署(ふきあいしょ)に移送された。容疑者は「殺意を持っていたかはわかりませんが、ナイフで腹部のあたりを1回か2回くらい刺したことに間違いありません」と、容疑を一部否認している。

さらに捜査関係者によると、谷本容疑者は女性について「全く知らない人です」と話していた。

動機につながる犯行前の行動について在阪記者が話す。

「防犯カメラの解析で谷本容疑者は女性と同じ阪神電車から降り、マンションまでつけていたことがわかってきました。どこから尾行を始めたのかははっきりしませんが、女性の勤務先近所の防犯カメラにも谷本容疑者が映っていたとの情報があり、会社を出るところからつけていた可能性もあります」

● 女性の首を絞めて殺害しようとした
容疑者が警察に確保された様子をテレビ番組をみると、ひたすら顔を映されたくないといった風にうつむいて顔を手でおおっていたりする。そこまで世間に恥じる行為を行ってしまう容疑者のストーカ体質の無差別殺人に動かすものとはいったい何なのだろうと疑問に思う。

容疑者は過去にも同様の犯罪を行い逮捕されている。

谷本容疑者は大阪出身で、2023年に運送会社に入社時に提出した履歴書には2011年から2022年12月まで神戸市内の建築会社に勤めたと書いてある。しかし同容疑者には履歴書に書かれていない逮捕された過去があった。

「2022年5月に当時、神戸市東灘区に住んでいた谷本容疑者は殺人未遂容疑で逮捕されています。今回の現場に近い中央区のマンションで当時23歳の女性が帰宅し、ドアを開けた瞬間に押し入り、女性の首を絞めて殺害しようとしたとの容疑で、ストーカー規制法違反容疑で再逮捕もされています。

谷本容疑者はその前から一方的に女性に付きまとい、首を絞めた後、1時間にわたって部屋に居座って自分が女性を好きだと言ったり『警察に言わないで』と言ったりしています。女性は幸い軽傷ですみました」(在阪記者)

● 悪い仲間と関係を絶ちたい
建築会社勤務が同年12月まで続いたという記述は虚偽とみられる。2022年に殺人未遂で逮捕された谷本容疑者だが、1年後の2023年5月9日、今回の事件直前まで勤務した東京都内の運送会社を履歴書を持って訪れている。逮捕翌日の8月23日、運送会社社長が取材で答えている。

「谷本君は、うちが就職情報誌に出した寮付きの社員募集の広告を見て面接に来ました。態度がよかったので即採用を決めました。以前、関西の会社で10年以上働いたというので『なんで関東に来たの?』とたずねると、『昔ヤンチャしてて悪い仲間と関係を絶ちたいので東京に来た』と。更生するなら手伝ってあげたいと思い採用しました。

ただ履歴書に千葉のほうの会社を3か月で辞めたと書いてあり『上司と折り合いが悪かったので』と言ってました。犯罪歴も『逮捕とかありますか?』って聞くと『ありません』と答えました。こちらとしては信じるしかないです。犯罪歴も履歴書に書いていないし」

犯罪歴があるか否かが、簡単に自己申告で通ってしまうというのも問題に思える。

面接で聞かれた際に嘘をつくと経歴詐称とみなされる可能性があり、賞罰欄に前科を記載せずに「なし」と虚偽の申告をした場合、後日それが発覚すると経歴詐称として解雇される可能性があるとのこと。

でもこれくらいゆるいのであれば、前科者で「なし」と申告している人はたくさんいるのではないかという不安が、この事件に関連して思う。

● サラ金から300万円くらいの借金
社長は谷本容疑者のドライバーとしての勤務態度は「めちゃくちゃまじめで、お客さんからのクレームもゼロ。後輩の面倒もよくみていた」「同僚からは『谷ヤン』『谷本さん』と呼ばれ慕われていた」と話す。

ギャンブルなどもせず目立った女性関係もナシ、休日は都内の社会人バレーボールチームに所属し、子どもたちの面倒をみる一面もあったというが、生活は安定していなかったようだ。

「彼は月30万くらいの円給料を受け取っていました。ここの寮費は3万5千円で、彼はギャンブルもしなかった。でも毎月5万円を前借りさせてほしいと言ってきたので理由を聞くと『親の療養費に使い、サラ金から300万円くらいの借金がある』」と言うんです。

それで僕の顧問弁護士の勧めで自己破産手続きを始めました。それが入社半年後から8カ月ほど後のことで、まだ自己破産はできていません。

あと今年の正月にも一度無断欠勤をしました。実家に帰ると言ってたんですが、正月休みが終わっても出てこないので電話すると『おばさんが入院している』『両親の面倒をみている』とか言いました。それから、以前10年ほど勤めた会社から『戻ってきてくれ』って言われたらしく、その気になっちゃったんでしょうね。だからいつ辞めてもおかしくないなとは思っていました」(社長)

とても面倒みのいい社長に思える。その社長の優しさに答えられずに犯罪という最悪の形で収束してしまった谷本容疑者の罪は重い。

 

参照:〈神戸・24歳女性刺殺〉「昔ヤンチャしてましたが…犯罪歴はありません」

     神戸のマンションで刺殺された女性「仕事に真面目」「陽気でかわいがられるタイプ」

               【速報】殺害された女性は「全く知らない人です」と谷本将志容疑者(35)が供述