今年6月、大阪市浪速区のマンションの一室で、ロシア国籍の女性が血を流して死亡しているのが見つかった。長男で派遣社員の伊藤金木(かねき)容疑者(21)が強盗殺人の疑いで逮捕された。
● 何度も殴られたような痕が
女性が変わり果てた姿でみつかったのは6月下旬の蒸し暑い日。
「血を吐いて倒れている」
別居していた夫が、妻と連絡が取れないことを不審に思い、マンションの妻の部屋を訪れると、寝室で妻が顔から血を流して倒れているのが見つかった。
死亡が確認されたのは、ロシア国籍のイトウ・エレナさん(50)。顔には何度も殴られたような痕が残っていて、亡くなったのは発見の前日と推定された。
警察は捜査を開始。すると、関係者への聞き込みから情報が入ってきた。
「エレナさんには別居している息子がいて、息子がエレナさんの部屋を訪れる際は、隣のマンションの通路からエレナさんの部屋のベランダに飛び移って入っている」
これは、エレナさんの留守を狙って部屋から入り、金銭を奪うことが目的だということか。そうでなければ、容疑者の母親なのだから普通にドアから訪問すればいいだけだ。そして忍び込んだら、おもいがけず母親が在宅だったので、もめて殺害に至ったのか。
警察が防犯カメラを確認すると、エレナさんが死亡したとみられる日に、21歳の息子が隣のマンションに入って行く姿が映っていたという。警察は7月7日、息子の伊藤金木容疑者を邸宅侵入の疑いで逮捕。エレナさんの部屋の玄関は施錠されており、府警は容疑者が集合住宅の共用部分からベランダに飛び移って室内に侵入したとみている。調べに対し、伊藤容疑者は容疑を認めた上で―。
「母親を何発か殴って首を両手で5分以上絞めて、首を折りました」
その後の調べでエレナさんの部屋から現金1万5000円を奪っていたとみられる。警察は7月28日、伊藤容疑者を強盗殺人の疑いで再逮捕した。
● 息子にボコボコにされたよ
エレナさんのSNSには、伊藤容疑者と誕生日を祝う投稿や、中学校の卒業式で撮影されたと思われる笑顔のツーショット写真が載せられていた。母と子の愛情と、かつての穏やかな日々が残されていた。
伊藤容疑者は、母親からは愛情を注いでもらい育ったと推測できるが、どこで窃盗や暴力に走るようになってしまったのか。
「3か月前とかに『息子にボコボコにされたよ』と言っていた」、「『息子が怖い』と言っていた」こう話すのはエレナさんが働いていた飲食店の同僚らだ。
また別の同僚は、事件の2週間前、エレナさんから、部屋が荒らされた動画を見せられ、助けを求められたという。この女性は事件の前日にも家に来ないかと誘われたが断っていたといい、「その時一緒にいれば、(エレナさんは)生きていたかもしれない」と後悔と悲しみの表情を浮かべた。
そこで、エレナさんが別居中の父親に相談することはなかったのかという疑問が起きる。息子は父親のいる静岡県に引っ越して派遣社員で働いていたこともあるというので、父親との交流は続いていたと思えるのだが、そこの関係性が記事だけではよくわからない。
警察によると、エレナさんと伊藤容疑者は去年11月まで浪速区のマンションで一緒に暮らしていた。去年11月中旬、伊藤容疑者が風邪薬を大量に服用して部屋の中で暴れ出してケガをし、入院する事案が発生。
さらに11月下旬には、退院した伊藤容疑者が再び部屋で暴れ出し、エレナさんが119番通報することがあった。その後、伊藤容疑者は父親がいる静岡県に引っ越した。
実は司法解剖の結果、エレナさんの死因は「熱中症」だった。警察は単なる病死ではなく、エレナさんが伊藤容疑者に暴行を受けた結果、動けなくなり、熱中症を引き起こして死亡したとして、「暴行と死因に因果関係がある」とみる。
発見時に顔から血を流して倒れているエレナさんの死因が「熱中症?」というのは、疑問が残る。警察は暴行による別の死因の可能性も排除せず、専門家から話を聞いているという。
検察庁は12日、伊藤容疑者の当時の精神状態を調べるため、11月13日までの約3か月間、鑑定留置することを決めた。伊藤容疑者はその後も事件については沈黙を続けている。
参照:【悲劇】「息子が怖い」残された言葉 大阪・ロシア人女性強盗殺人事件
逮捕の21歳長男は以前から金を無心か 大阪・ロシア人女性遺体
