小児性愛者として有罪判決を受け、性的人身売買の容疑をかけられ起訴されたジェフリー・エプスタイン氏は、2019年に勾留中に刑務所内で死亡した。66歳だった。検死の結果、自殺とみられていて公判前に死亡した。エプスタイン氏の死後すぐに、世間の人々は疑問の声を上げ始めた。
エプスタイン氏の交友関係は政財界の大物から文化的な著名人まで幅広く、他にも性的人身売買に関与していた人がいるのではないか、口封じのために殺害されたのではないか、といった陰謀論がささやかれた。
当局は本人の死後数日間で、基本的な事実さえも明らかにすることが出来なかった。具体的にはエプスタイン氏の同房者が同氏の死の前日になぜ別の部屋に移されたのか、監視カメラには何が映っていたのか、死亡した日の朝に誰が同氏を発見したのか、そして同氏を監視していたはずの2人の看守がどこにいたのかといった事柄だ。
ジェフリー・エプスタイン氏とは一体何者だったのか。
● 未成年の少女による告発
ニューヨーク出身のエプスタイン氏は、名門私立学校で数学教師としての短期間のキャリアをスタートさせた。その後すぐに投資銀行に転身し、ベア・スターンズで勤務した後、1982年に自身の会社を設立した。
CNNの報道によると、エプスタイン氏が同社で手掛けた顧客らの資産は10億ドル(現在のレートで約1460億円)を超えていた。
90年代までにエプスタイン氏は複数の国々の不動産やマンションを所有。カリブ海に島まで持っていた。そして、世界で裕福かつ影響力のある人物たちとの親交を深めていった。
その中には、英アンドルー王子、ビル・クリントン元大統領、ドナルド・トランプ現大統領などが含まれていた。これらの人物は全員、不正行為を否定している。
エプスタイン氏の秘密の生活が初めて明るみに出たのは2005年、複数の未成年の少女による告発がきっかけだった。少女らは、金銭の見返りとしてパームビーチの同氏の邸宅でマッサージや性行為を要求されたと訴えた。数年後に公開された大陪審の証言には、当時40代だったエプスタイン氏が14歳の少女をレイプしたという内容も含まれていた。
● 死因は自殺で、顧客リストもない
トランプ氏は1990ー2000年代初頭にかけてエプスタイン氏と交流があった。
2021年に行われたエプスタイン氏の協力者、ギレーヌ・マクスウェル受刑者の刑事裁判では、長年エプスタイン氏のパイロットを務めたローレンス・ビソスキー氏が、トランプ氏がプライベートジェットに複数回搭乗したことがあると証言した。
裁判で証拠として提出された飛行記録の乗客リストには、1993-94年の間に少なくとも6回、トランプ氏の名前が記載されていた。トランプ氏はこの事件に関連して起訴されていない。
トランプ氏は2024年1月9日、自身のソーシャルメディアに「私は一度もエプスタインの飛行機に乗ったことがない」と投稿している。
司法省は7月7日、エプスタイン氏の死因は自殺であり、「顧客リスト」もないと結論づけるメモを公開した。
2024年の大統領選でトランプ氏は、エプスタイン氏に関する追加の政府ファイルの公開を検討すると述べ、政府全体の透明性向上に向けた取り組みの一環として、右派の要求に応えると約束した。7日のメモはそうした約束を反故(ほご)にするものに他ならなかった。
一方、トランプ氏は7月8日、ホワイトハウスでこの件から話題を移すべく、司法省のメモについて質問した記者らを非難。「まだジェフリー・エプスタインのことを話しているのか?」と問い返した。
エプスタイン氏に関する事件の詳細に関して、Netflixの「ジェフリー・エプスタイン:権力と背徳の億万長者」というドキュメンタリーがある。1話、約1時間の内容で4話まである。このドキュメンタリーを視聴した後でまたこの事件に関して考えてみたいと思う。
参照:ジェフリー・エプスタイン事件について知っておくべきこと
トランプ政権を揺るがす「エプスタイン事件」 戦慄のドキュメンタリー
情報BOX:「エプスタイン問題」とは何か、未公開文書巡り亀裂も
