
7月24日(木)の「情報ライブ ミヤネ屋」が取り上げた高速での玉突き事故を見ていて、これはひどいドライバーだと思った。
去年の5月14日に大型トラックによる死傷者6人の玉突き事故が、首都高速の美女木ジャンクションで発生した。交通量の多い朝の首都高速、前方で渋滞が起こっているにもかかわらず、トラックはスピードを落とさず、ノーブレーキで車列に突っ込んだ。
● ヨレヨレのグレーのTシャツ
運転手・降籏紗京(ふりはたさきょう)被告は、大型トラックの車中で重度の睡眠時無呼吸症候群に陥った。6台が玉突き事故を起こして車3台が炎上した。
乗用車に乗っていた、船本宏史さん(当時54)、小松謙一さん(当時58)、杉平裕紀さん(当時42)が頭部損傷などで死亡した。他3人が重軽傷を負った。
5月20日、東京地裁で「美女木JCT追突炎上死傷事故」の初公判が開かれた。過失致死傷の罪に問われているのは、本件事故を引き起こしたトラック運転手・降籏被告。
初公判に、降籏被告はヨレヨレのグレーのTシャツにスウェット姿で法廷に現れた。
降籏被告は事故の三日前に喉の痛みを伴う風邪症状を認識していた。しかし愛人とのLINEに夢中になっていた。病院にもいかず、市販薬「ルル」を服用するだけ。
前日13日に、午前3時頃に起床し出勤。不倫相手の女性には「喉と頭痛」「今熱測ったら8.9」などとLINEしていた。
「午後7時16分頃から翌14日午前1時41分までの間、『全身汗だく 熱は7.3だいぶ下がった』『喉の片側だけ痛いのと熱がまだ上がってきてて市販の風邪薬効かない』などの体調不良の話や仕事の話、女性の家族の話などについて断続的にメッセージのやり取りをして睡眠を十分に取らなかった。その頃までの間に抗ヒスタミン剤である風邪薬を合計5回服用した」(検察側の冒陳より)
そして1時間ほどの睡眠で午前3時頃には起床。再び仕事に出掛けて事故を起こす。
● 事故を起こして罰金70万円
無理に仕事に出た理由として検察官が述べたのは「借金」だった。
降籏被告は2023年6月にも、勤務中に事故を起こして罰金70万円に処されていた。罰金を払えず「会社には迷惑をかけられない」と考えたという。
事故の30分ほど前に20回以上、車線を踏み外すなどふらふら状態だった。しかし事故直前まで、右手でハンドルを操作して左手で携帯で不倫相手にLINEを続けていた。
事故当時、降籏被告は結婚していた。LINEしていた女性には不倫していた自覚はなかった。降籏被告に、『妻とは別れて独身』と嘘をつかれていたという。
事故翌月の2024年6月、降籏被告は前妻と離婚して、8月には別の女性と獄中結婚していた。再婚相手はLINEしていた女性とは別の女性だった。
日本テレビの記者の接見に応じた降籏被告は、体調不良の中、運転したことについて後悔の言葉を口にした。会社に関し、「管理体制が、ずさんだった」としたものの、「結局は体調が悪い中でも、ハンドルを握った自分に責任があると思う」と話した。
亡くなった3人と遺族に対しては、「大切な命を奪い、本当に申し訳ないです。休んでいれば(事故は)起こらなかったので、本当に自分の責任は重い」と謝罪した。
● 何を見せられているのだろう
事故でなくなった杉平さんの妻が訴えたのは、故意による事故と認められなかったため、危険運転致死傷が適用されなかったのが無念であるということ。

「過失運転致死傷罪の最高刑は7年で、危険運転致死傷罪は20年です。あまりにも差がありすぎる。素人の考えかもしれませんが、ながら運転、数日前の飲酒運転、過去の犯歴、降籏の人物像、反省の色がない人柄も加味できないものでしょうか。このように点数で加算されていけば、7年を越える事案だと思います。」(杉平智里さん)
夫の船本宏史さんを亡くした、妻・恵津子さんも涙を流しながらこう訴えた。
「供述調書の中には、数日間の愛人とのLINEの記録が大量に載っていました。愛している、早く一緒になりたい、次はもっとチュッチュしようね…。低俗な会話が延々と続きます。一体私たちは何を見せられているのだろう、という強い怒りと落胆の気持ちでいっぱいでした」(船本恵津子さん)
「(降籏被告が再婚した)8月というと、まだ主人が亡くなったことを受け入れられない中、主人の会社の社宅から退去を命じられていた時です。私自身、4月から働き始めた勤務先から勤務日数が足りないということでクビになる可能性を示唆されるなど、本当にどん底の地獄のような日々でした。
その中で、降籏は税金で面倒を見てもらいながら、再婚し、出所後の生活に期待を抱いて生きていた。これは心から反省している人間がとる態度でしょうか」(同)
● 被害者の名前は知らない
7月24日公判では、遺族が被害者参加制度を用いて被告人質問で直接質問する。その質問にて降籏被告は“被害者の名前は知らない”などと話した。
初めて行われた被告人質問で、質問に立ったのは、遺族だった。
船本宏史さんの妻:「主人に言いたいことはありますか」
降籏紗京被告:「命を落として大切な家族と離ればなれになってしまった。本当に申し訳ありませんでした」
船本宏史さんの妻:「申し訳ないのに、名前は知らない?」
降籏紗京被告:「(うなずく)」
降籏被告は被害者の名前を知らなかった。その一つを取っても被告がどのような意識で、自分が起こした事故と向き合っているかが伺える。
参照:美女木多重事故、不倫相手とのLINE履歴が暴いた同情の余地なき行為の数々
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