
「84㎡」 2025年製作 韓国 原題:84제곱미터/Wall to Wall
韓国映画「84㎡」は、マイホームを手に入れた男性が騒音の犯人と疑われたことで追い込まれていくサスペンスリラー。
2021年、平凡なサラリーマンのウソン(カン・ハヌル)は、恋人と結婚する予定で、貯金をすべて下ろし思い切って高額なマンションを一室買った。
2024年には、婚約者とは破談になり一人で住むこととなる。金利は18%まで上昇。ローン返済額が給料を上回るため、ウソンはサラリーマンの仕事を終えた後に、夜も配達のバイトに追われている。生活は苦しく、光熱費を抑えるため、照明もつけずに過ごす毎日だ。
けれどそのマンションでは、工事のような音が上から響いて眠ることもできず、体も休まらない。
そして、騒音の原因はウソンの部屋であると勘違いをした主婦からドアに”子供が高3と中2です お静かに”などと多数の付箋を毎日のように貼られてしまう。
騒音は上の階が原因かと思い、尋ねにいくと”自分部屋ではなくてその上の階が原因ではないか”と言う。マンションの階を行ったり来たり。いったい騒音の原因はどこにあるのか?
追い詰められたウソンは、精神が不安定になり、やがて自らも騒音を発するようになる。その為、騒音の原因はウソンにあると勘違いをしたマンションの多数の住人が、ドアの前に詰め寄ってくる状況に。
ところで、韓国の住宅事情は日本と比較した場合にどうなのか?
韓国の首都・ソウルのマンション状況は東京23区の新築マンションの約3倍にあたるという。
東京23区の新築マンションの平均価格は1平方メートルあたり約172万円。ここ数年でずいぶん値上がりしたが、対するソウルは約503万円と3倍近い。ちなみに、1人当たり国民総所得(GNI)は日本が約3万4500ドルで韓国は3万6624ドルとほぼ同じ。
その韓国の住宅事情がこの映画には反映されているのだあろう。今のソウルでは新築戸建はよほどの資産家でないと手が出ないので高層マンションにマイホームを持つのが多くの人々の目標となっている。さらに結婚の際に男性側が住居を用意するという伝統的な慣習が今でも残っているという。
ウソンは一気にマンションの値段を払う手段として、ピットコイン投資に手を出す。何億も儲ける可能性がある話に賭ける。それが成功するか否かの状況で、警察に連行されて自由がきかなくなるというピンチ。何億もの儲けはどうなるのか。
ここまで物語の展開にスピード感があり、とても面白かった。ウソンがマンションで何者かによる騒音で苦しめられ、原因を探り迷走している不条理さが、物語を引っ張っていたことがわかる。
本作は「理想の暮らし」がいかに幻想であるかを描いている。しかしウソンの戦うべき相手がはっきり見えてきた時点から、物語の面白さが失速してしまった。終盤の展開にもう一工夫、ほしかった。
参照:ソウルのマンション価格は東京の「約3倍」! 背景に韓国ならではの“教育事情”