「とんでもカオス!: 気球少年」2025年製作 アメリカ 原題 Trainwreck: Balloon Boy

 

父親・リチャードの作ったUFO型の気球、庭から空高く舞い上がる瞬間に気づいたことは、その中に6歳の息子が乗り込んでしまっていたこと。

家族が大慌ての中、気球はどんどん飛んでいく。この出来事は、UFO型の気球を発見した報道ヘリからの生中継映像により、事実であると確認される。捜索が瞬く間に国レベルにまで発展。大規模な救出作戦が展開され、その費用は総額4万ドル(現在の価値で約600万円)を超えたとされる。

皆が"気球少年"を安全に救出する策はないかと知恵を絞った。

「気球に乗り込んだ少年はどうなった?」という実際にあった米コロラド州の2009年10月の事件をドキュメンタリーにしたのが「とんでもカオス!: 気球少年(Trainwreck: Balloon Boy)」。

ここまで読んで面白そうだと思った方は、Netflixに加入している人ならぜひ実際の作品を見てほしい。予想以上の面白さを感じるはずです。事件の結果を知りたくない方は、以下はネタばれを含みつつ書いていく為、ここでストップすることを薦めます。

● これは番組のためだ
気球の事件は、多くのマスコミが家の周りを囲むほどの、注目を浴びる事件になった。

気球がゆるやかに着地する。奇跡の再会を期待する人々が祈るように見守っていたが、なんと気球には少年が乗っていなかった。少年は自宅ガレージの屋根裏部屋で寝ていたという。

テレビ局もこの事件は視聴率を取れるということで、一家はCNNの人気番組『ラリー・キング・ライブ』に生出演。番組で司会者から「なぜガレージから出てこなかったの?」と質問された6歳の少年は、こう答えてしまった。

「You guys said that, um, we did this for the show.」
(だって、パパたちが「これは番組のためだ」って言ってたから…)

父親・リチャードはあわてて否定する。しかし事件が売名目的の狂言であったという疑いは確信へと変わっていく。



日本生まれの少年の母親・マユミは騒動から2日後に行われた捜査当局の事情聴取で、「夫と2人で当局にうそをついた」などと供述している。

今度は『気球の事件はでっち上げだ!』という事で、一家に向けられていた世間の同情は怒りへと変貌していく。別の意味で、マスコミに追われる事になる。一家は世界中から激しいバッシングを浴び、「アメリカで最も嫌われた家族」とまで呼ばれるようになり、厳しい社会的制裁を受けることになった。

リチャードは公務執行妨害未遂の罪で禁錮90日と賠償金3万6,000ドルの支払いを命じられた。マユミも虚偽報告の罪で、週末のみ収監される形の禁錮20日という判決を受けた。

● 嵐の追跡者やUFO研究家
そもそもそのUFO型の気球を作り上げたリチャードは、めだちがりやの人物であった。リチャードは俳優やコメディアンを目指すも成功せず、ストームチェイサー(嵐の追跡者)やUFO研究家として注目を浴びようと活動していた。

但し、このドキュメンタリーの作り方でいうと、事件がでっち上げなのかどうかの結論は微妙にぼかしている。

このドキュメンタリーは、悲劇的な誤解が司法の誤審へと発展したという彼らの主張を摂っている。彼らの弁護の中心にあるのは、マユミの自白が強要されたものだという主張だ。

だから当作品は、夫妻の「有名になりたい」という強い渇望が背景にあったとする一般のニュース記事とは異なったスタンスで作られている。

彼らは、英語が不自由な日本国民であるマユミが弁護士なしで尋問され、捜査官が国外追放をちらつかせた後にのみ自白したと主張している。一家はまた、公式な話を覆す証拠として、どの報道機関よりも先にFAA(連邦航空局)に助けを求め、911(行政のコールセンター)に保留にされた後に初めてメディアに連絡したと主張している。

一家の弁護士は、彼らが申請書でデマを認めたことは一度もなく、無実を主張し続けたことを確認した。そして2020年12月、コロラド州知事は「彼らはすでに世間の目で裁かれ、代償を払った」として夫妻に恩赦を与えた。

一家は、マスコミから逃げるためにフロリダに引越して、人生を再スタート。リチャードはこのように告げて、ドキュメンタリーは終わっている。「新しい物を作っている。すごく大きなものだ」

お隣さんの男性は、リチャードのことを「実験好きで頭がいい」と、評している。もしもこの気球を使った『でっちあげの事件』が、『自分をどこまで有名にすることができるのか?』という実験であったなら、Netflixのドキュメンタリーまで作成された時点で、自分に何点を付けるのであろうか?

参照:コロラド気球事件(バルーンボーイ事件)の全貌:Netflixドキュメンタリーが暴く
             米「気球少年」事件、母親がでっち上げ認める
            Netflixの新作ドキュメンタリーが、悪名高い「気球少年」の物語を再検証