「とんでもカオス!: 排せつ物まみれのクルーズ船」 2025年製作 アメリカ 原題:Trainwreck: Poop Cruise

気圧の変化に弱いぼくは、飛行機に乗ると頭痛に苦しめられる。2度くらいしんどい思いをしてからは、飛行機に乗っていない。だから外国への旅行を考えたなら、生きているうちに豪華客船での旅行もいいかなと考えていた。

でも、ジェームズ・ロス監督のドキュメンタリー映画「とんでもカオス!: 排せつ物まみれのクルーズ船」を見ると、その気も失せてしまった。

当映画は、日本のNETFLIX映画ランキングで現在9位に入っている。

映画は2013年に起ったトラブルを描いている。乗客4200人あまりを乗せた豪華クルーズ船「カーニバル・トライアンフ」は、往復4日間の夢のような日々を送るはずだった。それが、一転して悪夢のような航海に。

旅から4日め、メキシコ湾を航行中に火災を起こして突然の停電。原因は船全体に電力を供給する電気ケーブルが破損した。そこから船は止まったままで、冷蔵庫、照明、冷房、トイレの水を流す電力もないままに漂流し始めた。そして汚水が船内にあふれ
食料は底をつき始めた。

メディアは一斉にこのニュースを騒ぎ立て、世間は”排せつ物まみれのクルーズ船”の話題で持ち切りになった。                           


船内の状況を伝えたニュースでは以下のように船内の状況を伝えた。

『ある乗客の家族によれば、乗客は食料などをもらうための行列に最大で4時間も並ぶ羽目になったほか、早い者勝ちで配布が行われたため、列の最後尾にいた人はパンと調味料しかもらえなかったという。乗客の間では配布をめぐって口論も起きた。』

この映画に関して、「見てもなんの得にもならないドキュメンタリー」とコメントしている人がいたが、ぼくにはそうは思えなかった。内容は排せつ物が船内にあふれるという笑えない、想像するにおぞましい状況を描いているのだけれど、これはとても面白い映画だった。

どんなに豪華なシステムも、人工なだけにその元が絶たれると、見るも無残な現実を突きつけられてしまう。その事がユーモラスに、また見方を変えれば啓蒙的にも描かれている。

船のスタッフ・ジェンがこのトラブル時に考えて決めた事を船内に放送で連絡している。
「重要なお知らせです。お気づきのとおりトイレが流れません」
「”小”はシャワーでお願いします。そして”大”についてですが、これから赤い袋を全てのトイレに配ります。”大”はそちらにして廊下のゴミ袋に入れてください」          

しかし、そんな袋で用を足したくないと考えて、大勢の人が機能しないトイレを使うことを選択。

やがて動きの止まった豪華船をタグボートで曳いて、陸までもっていくことになる。しかし、タグボートに曳かれると船が傾き、シャワー室にたまった小便も、通路に置かれた大便が入った赤い袋も流れないトイレにたまった大便も、すべていっしょくたに船内に流れこんだ。豪華船内は4000人分のあふれる排泄物といっしょの船旅となる。

カーニバル社の客船が火災を起こしたのはこれが初めてではない。3年前の2010年にも別の船が太平洋上でエンジン室から出火。トイレがあふれるなど「今回とまるで同じ状態だった」と、この時の乗客は言う。

カーニバル社は事故を起こした船の乗客に料金を全額返金するほか追加で500ドル、帰りの交通費などを負担。無料で別のツアーに招待するとしていた。だがある乗客の家族は「2度と同社の船に乗る気にはならないだろう」と語っていたという。       

参照:火災で航行不能のクルーズ船、トイレがあふれ食料配布でトラブルも