
男性は、好きな人ができた事を理由に、23歳の女性に別れを切り出した。ある日の夜、女性から眠っている間にチェーンソーで、首を切られそうになった。
という怖い事件の裁判が6月3日、東京地裁で行われた。男性は首などに全治2週間のけがをした。女性側は、犯行時を含め別人格が自分を支配していたなどと訴えた。裁判の結果は懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決だった。
● 生きてていいことないから
女性は23歳という年齢以外は名前も公表されていない。また、この事件は産経新聞以外のメディアでの情報が見当たらない。しかし、恋愛のこじれがこのような形の結末を迎えるというのはけっこう凄い。
一つの疑問は、「相手の体を固定せずにいくら眠って体が動いていない状態だからといって、チェーンソーで首を切断できるものなのか?」ということ。
実際の事件では、男性は首に熱さを感じすぐに目を覚ました。「何やってるの!?」と聞かれ、女性は「私はこの先、生きてていいことないから」と、泣きながら答えたという。
女性にとって、相手の男性のみが”生きている手ごたえ”になっていたのであろう。しかし、男性にとっては彼女のその想いが、精神的に重過ぎたのかもしれない。
女性は、男性の実家を訪問したことにより「結婚を意識した」と語った。「(結婚後にもうける)子供の人数や、(子供の)習い事についても話した」と振り返った。
証人として出廷した男性は「金銭的に余裕がなく、結婚は全く考えていなかった」と証言。両者の意識に「すれ違い」が生じていたことが浮かんだ。
二人が出会ったのは2022年、オンラインゲームを通じてだった。2023年2月、男性に告白されて交際がスタート。女性は上京し、都内の男性方で同居するようになった。
破局は突然だった。交際から半年の記念日を祝った翌日の2023年8月11日夜、男性が「好きな人ができた。家を出ていってほしい」と切り出した。
女性は泣いて拒んだが、男性の心は変わらないので9月に家を出ていくことを了承。その間は同居を続けることになった。しかし別れたいはずの男性は、その後に女性と肉体関係をもつなどしていた。「都合良く扱われた」と感じた女性は、徐々に怒りを募らせるようになった。
● 家も恋人も仕事も全部なくなんのに
犯行の約1週間前、女性はX(旧ツイッター)に、《私は家も恋人も仕事も全部なくなんのに、(被害男性)は何もなくならんの気に入らん。殺す?》と投稿。犯行の3日前にはLINE(ライン)のメモに《私捨てて自分が幸せになれると思ってるのお気楽すぎる》と書き残していた。
逮捕・起訴された被告(女性)だったが、心神喪失による無罪を主張した。
弁護側によると、犯行から約1カ月後の9月下旬、被告は留置施設内で急に倒れた。その後、意識を取り戻したが「(被告は)それ以前のことは覚えていない」。犯行時を含め、別人格が被告を支配していたなどと訴えた。被告人質問で犯行当時のことを問われた被告自身も「よく分かりません」と繰り返した。
地裁は、チェーンソーという猟奇的にも思える凶器を選んだ理由についても、被告自身が「力が弱いため、首を絞めたりナイフを使ったりするよりも機械の方が適している」と供述していることに触れ、「被告なりの合理的な選択ができており、犯行は普段の人格状態で行われた」と結論づけた。
裁判長は、犯行について「一歩間違えば重大な結果を生じかねない極めて危険なもの」としつつ、被害男性との間で示談が成立し、被害届が取り下げられていることも踏まえ、「社会内で更生する機会を与えることが相当」と述べた。
「被害者にけがをさせ、怖い思いをさせた。被害者以外にも迷惑をかけた」。最終意見陳述で反省の弁を女性は述べた。
参照:交際相手の首をチェーンソーで… 突然の別れ話で悲しみが殺意に、我を失った女