「ライオンの隠れ家」2024年製作 日本
 

市役所で働く弟のために生きる兄と、自閉スペクトラム症の弟の済んでいる家に突然、現れた「ライオン」と名乗る男の子。その子の面倒を見ることをきっかけに事件に巻き込まれていく。

ライオンと名乗る子から渡されたスマホには「じゃあ、あとはよろしく」と差出人不明のメッセージ。そこからある人物を想起することにより、謎を解き明かしていく。



弟のほうは障害を抱えているが、小さなデザイン事務所でアーティストとして絵を描いている。その絵がとてもいい絵で、ジミー大西の絵に共通するものがあると思って見ていた。このドラマで使用された絵は、実際に2歳のとき知的障害を伴う自閉と診断された画家・太田宏介(おおた こうすけ)氏によって描かれた絵画作品。

この「ライオンの隠れ家」というドラマは、出演者のすべてが適役ですばらしい。セリフもよくて深みがあり、笑いもあって涙を誘う場面もあり、見応え充分。

突然、見知らぬ場所で三人で生活することになったライオンを演じた子役の佐藤大空(さとう たすく)君の演技は毎回関心した。可愛いし、物語の進行に沿った自然な演技で、役の中で自由に遊んでいるようにさえ見えてしまう。天才子役だと思った。

兄と弟で帰り道に散歩しているときに、鳥を見つける。
「あ、カモメ」
弟がつかさず、訂正する。「違います。カモメ科のウミネコです」
「海じゃないんだけどねぇ~」
兄のつぶやきに弟はたたみかける。「海じゃなくてもウミネコはウミネコです。どこを飛ぶかはウミネコの自由です。ウミネコだって違う景色を見たい時があります」
「違う景色かぁ・・・・・・」
兄のかみしめるような言葉には、自分の人生を重ねているかのよう。

そのやりとりが記憶に残っていてこの場面が、終盤に会話の中にもう一度出てくる。そうした最初のワンシーンの会話を物語の終わりに回収するかのような構成にも無駄がなく、つくづくすごいドラマだ。