「たった一人でステージに立ち、マイク一本で笑いを取る」
これは、『スタンドアップコメディ』のことで欧米で主流のコメディショーとの事。Netflixにスタンドアップコメディの動画があり、何人か観たけど、ほとんどが退屈だった。その中で唯一、面白いと思ったのがアリ・ウォンの動画。
「私好きなの、顔に出させるのが。本当にイヤらしいし、楽だからよ、すごく楽なの、モノをしゃぶるよりもね。口でするとすごく消耗する。ウエウェェェェェェ喉が詰まるし涙が出る。本気でイカせるなら”コショウひき”も必要、激しくね。」
「夫は賢いの。ハーバード院卒で何より私を選び私に投資した。今より9キロ重くてニキビ面の金欠だった私を底値で買ったわけ。彼にとって離婚は高値で売るのと同じ」
「私は仕事で前進、夫は昼寝にまい進。私が大黒柱になってから夫は首締めプレイを拒む。私が死んだら困るからよ。私は"もっと強く絞めてよ”。夫は”だけどPS5が欲しいんだ”」(アリ・ウォンの魔性の女になりたくて より)
下品な表現も多いが、人がためらう言葉を彼女が代弁していてすがすがしさを感じる。

「BEEF/ビーフ」 2023年製作 アメリカ 原題:BEEF
アリ・ウォンを検索し、ドラマ「BEEF/ビーフ」に出演している事を知り鑑賞した。米国で暮らすアジア系の男女2人が、些細なきっかけにより煽り運転のやり合いで対立しはじめ、やがてそれは家族を巻き込んでの命がけの激闘に発展していく。
工事業者を経営しているダニーのあるシーンが忘れられない。ダニーの弟は、ゲームに熱中で自分との対話は上の空。仕事は業績不振で、彼女もいない。また車で煽られた女性に怒りが沸いてイラついている中で、入った教会。そこで、演奏していた音楽。
歌詞は「内心は傷つき絶望している? 罪の重さを抱えきれない? 神が呼んでいる 自己の終わりと向き合い 安らぎを渇望している?」と、教会らしい歌詞。
けれど、綺麗な歌声と音楽に思わずぼくは涙を流したのと同時に、ドラマでもダニーが音楽で泣き崩れたシーンとなる。いがみ合い、自分の人生のわびしさに涙しているのか、嗚咽して肩をふるわせ泣いている。このドラマ、アリ・ウォンの顔演技のうまさと、嗚咽したスティーヴン・ユァンのシーンだけでも、一見の価値あり。