「愛と、利と」2022年製作 韓国 原題:사랑의 이해/The Interest of Love
 

Netflixにて全16話の韓流ドラマ『愛と、利と』を見た。漢字2文字とひらがな2文字の点「、」を中心に対称形のような日本語タイトルが面白い。同じ銀行で働く4人の男女が、複雑な恋愛模様を繰り広げながら自分の人生や愛の意味を模索していく姿を描いている。

とても静かに物語は進んでいく。物語の舞台は、KCU銀行ヨンポ支店。銀行の窓口業務で席についているサンスは、「ヨンポ支店の女神」と呼ばれている美女・スヨンの顔をそっと覗き見ている。それに気が付いたスヨンがサンスの方を見てそっと微笑む。彼は視線をはずして見ていなかった事にしたいかのように、業務をこなす。

このシーンから既にサンスが仕事に集中できないくらいに、スヨンの事が気になってしかたがないことが伺える。

● 彼女の人生を背負えるのか
サンスは彼女に聞く。「週末は何を?」「週末は君に会いたい」と告白してデートの約束を取り付ける。スヨンからはあっさり「いいわよ。行きましょう」と、言われて期待に胸を弾ませる。そして二人で週末に映画を見て、食事をする。その帰り道、次のデートでは一緒に夕食に行く約束をする。

スヨンはサンスに告げる。「あいまいな関係は嫌なの」「僕もあいまいなのは嫌だ」

サンスはデートの当日に銀行の業務に押され、夕食の約束の時間に遅れてしまう。それでも仕事が終わった後に走って店の前まで来る。そこで、一瞬のためらいを感じる。「このまま彼女の人生を背負えるのか?」、その不安が足を止めさせてしまう。それでも、気を取り直して約束の店に入ると彼女の姿はもうなかった。

ここから、スヨンの気持ちを自分に戻させるためのサンスの長い長い戦いのような苦痛の旅が始まる。

スヨンは彼のためらいが、自分の家庭の貧しさと学歴の低さから来ていると思い込み、サンスの言動には完全に無視を決め込んでしまう。そして同じように貧しい家庭出身で警察官になる事を目標としているジョンヒョンと付き合い始める。彼も自分と同じ銀行支店にて守衛のバイトをしている。サンスはやがてジョンヒョンと同棲を始める。

サンスのほうも明るくて、お金持ちのお嬢さんである同僚のミギョンと交際を始める。彼女は先輩、先輩と彼を慕って彼にベタ惚れで、婚約へと気持ちは進んでいく。彼女はプレゼントに車を買ってくれたりするのだが、「それは受け取れない」と、サンスは拒絶の意志を示し、彼の気持ちもどこか醒めていく。

同じ銀行にいるので、サンスとお嬢さん育ちのミギョンが仲良くしている場面をスヨンも見てしまう。不愉快そうな表情からは、スヨンのほうもサンスの事を完全に吹っ切れていないのだということがわかる。

● 無限ループにはまった一つの地獄
やがて、サンスははっきりと自分の意志を決めて、走る車の中でミギョンに言葉をかける。「好きな人がいる。それは君ではない」ミギョンは「今日は誕生日なの。どうして今日なの?先輩の気持ちが傾いていること気づいていないと思っている?」と、泣き叫ぶ。「ごめん 別れよう」サンスは告げる。

またスヨンのほうも、ジョンヒョンが彼女の家を出てしまう。それは、サンスの親友と寝るという突拍子もない一夜限りの破滅的な行動からだった。

スヨンから同棲相手がいなくなりサンスもお嬢さんと別れて、お互いに再度、向き合って交際が始まるかのようになるのだが、そこからまた、スヨンはサンスの前から姿を消してしまう。

自分の方を向いてくれたと思ったら、連絡を絶たれてしまうというこの繰り返しは、無限ループにはまった一つの地獄。こんなひどい罰ゲームもないものだ。また、自分の親友がこれほど好きで追い求めている女性と一夜限りとはいえ、簡単に寝てしまうというのもひどい展開だ。

男が好きな女を求めての地獄めぐりのようなお話も、スヨン演じたムン・ガヨンという女優が特別にミステリアスな魅力を持っているからこそできた作品に思える。横顔や憂いに満ちた顔がとても綺麗だ。

また、このドラマは重い話だけではなくて、ユーモアもあるので救われている。とにかく続きが気になるドラマで中毒性があり、4人の登場人物にそれぞれ味わいがあった。バックの曲もギター弾き語りの静かな曲でとてもいい。ドラマの内容は深堀したら、隠れたメッセージが色々ありそうだ。