「青くて痛くて脆い」2020年製作 日本

 

Netflixで、鑑賞する作品を選択する際に、一覧の画像をクリックすると約1分ほどの作品の一場面が表示される。
狩山俊輔監督の映画「青くて痛くて脆い」のそのワンシーンが惹きつけた。

舞台は、大学の講義。そこで女子学生が手を挙げて講師に質問をなげかける。
「全員がいっせいに武器を下ろせば、戦争は終わると思うんです」
「それは理想論でしょ。現実的ではない」と、講師が諭す。
「理想であるならば、一番にそこをめざすべきじゃないでしょうか」

横に座っていた男子学生は思う。『ただの痛いやつじゃない。かかわっちゃいけないやつだ。ぼくはとりあえず逃げることにした』質問をした女子学生と距離を取るべき、大急ぎで講義が終わって駆け足で逃げ去るが、その背中超しに、女性は言葉を放つ。

「カエデく~ん! 食堂行くの? 何食べる?」
そして無邪気にうふふと笑う。

男子学生・田端楓(たばたかえで)と、女子学生・秋好寿乃(あきよしひさの)の性格や考え方が象徴的に表れているシーンに思われた。

そして、映画を見たら冒頭から心を持って行かれた。主人公の紹介がてらの内面の告白が、最近ではあまりみかけないパターンだが、その言葉が自分の普段の生活の底に流れることを想起させるものだった。

以下、主人公・楓のつぶやき。

「あらゆる自分の行動には相手を不快にさせてしまう可能性がある。

不用意に人に近づきすぎない事。そして人の意見を否定しないこと。

そうすれば人を傷つけることもないしき傷つけてしまった誰かから傷つけられずにすむ。

結果的に自分を守ることになる。」

と、思っていた楓が冒頭に質問をなげかけた女子学生の寿乃に、関わっていく物語だ。

精神的に響く映画で、描いている場面は大学生の話しであり、恋愛であり、「モアイ」というサークルを作成したがその中で起った不正への関わり方を描いている。今の自分にはほとんど重なる部分はないものの、そんな表面的なことは別として、ベースとなる人間の心の描き方が徐々に刺さってくる。「青くて痛くて脆い」というタイトルは人間の生き方そのものを表しているように思えてくる映画だった。