
「メイドの手帖」公開日:2021年10月01日 アメリカ
ドラマ『メイドの手帖』は全米ベストセラーになった書籍が原案だ。著者ステファニー・ランドが、自身の経験を記した回想記。
旦那さんの精神的DVが原因で、幼い娘を抱えてお金も住む場所も定まっていないうちに飛び出して、メイド(家庭内清掃員)になって生活をする女性の物語。
本屋でこの本の、 『最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語』という副題に惹かれて『買おうかな?』と思っていた手記だった。それで、Netflixでドラマ化して配信中ということで、鑑賞した。このドラマは見応えがありとても面白かった。
物語には殺人とか、陰謀とか、大恋愛などは描かれていないが、けっこう見ていてハラハラする。主人公のアレックスと3歳の娘が今後、普通に生活をしていけるのかという事で。
主人公の財布の金額が、画面の右上に時々表示される。その金額が買い物をするたびに、減っていく。限りなく0に近づいたり、時には購入しようと思った商品が高すぎて、マイナス表示になり考え直したりする様子が、リアルにお金に困っている状況が伝わる。
ただ、主人公のアレックスを演じたマーガレット・クアリーもスタイルのいい綺麗な女優さんで、娘もとても可愛いので困窮しているわりに画面があまり悲惨な印象にならないのが救いだ。
またアレックスの母親(アンディ・マクダウェル)がなかなか強烈なキャラクターで、眼が離せない。芸術家を名乗り、たえず絵を描いているが、娘とその子供の事より自分の男に熱心だ。
自分の娘に「お前は股を開かなくても、男が寄ってきていいね」などと暴言を吐く。とうとう精神病院に入れられるけど、そこでもじっとしていない。なお、演じた娘のアレックスと母親役は実際に親子とのことで、やけに息がピッタリあっているわけだ。
また、アレックスもメイドとして働いている途中で、家主が留守の時間を活用しようと考える。家が豪華なのでSNSで知り合った男性を呼び入れて、『あわや性行為にいたらんとする直前に、家主が帰ってきて大慌て』なんてゆうコミカルな場面もあり、単に夫から暴力で追われて悲惨な母子家庭という描き方をしていないところがいい。
ドラマでは、暴力を受けて家庭から逃げてきた女性を支援する施設の実態も描かれている。日本にも同じように「母子生活支援施設」があるのだが、その実態はどうなのかと気になった。
書籍『メイドの手帖 最低賃金でトイレを掃除し「書くこと」で自らを救ったシングルマザーの物語』の著者ステファニー・ランドが、インタビュー内で次のように語っている。
「シングルマザーたちは自分たちが置かれた状況に多くの非難を向けられ、なかなか人々に共感してもらえず、“援助対象”と見なされにくいのです。彼女たちに2人分(自分と子供)の仕事をすることを求め、支援を得ようとすると責め立てられ……」
ランドによれば本作の続編となるシーズン2の構想も進んでいるという。「シーズン1は10話あり、私が書いた物語が中心ですが、次のシーズンからは新たなメイドの物語が始まります。有色人の女優を起用してね」。
参照:『メイドの手帖』になぜ、世界中が目を向ける? 妥協をゆるさない作り手たちの克明さ