「猿の惑星/キングダム」2024年製作 アメリカ 原題:Kingdom of the Planet of the Apes

 

ウェス・ボール監督の「猿の惑星/キングダム」は、最初のオープニング30分と、エンディングの30分が、映像的にも内容もスピーディな展開で面白かった。差し引いた約1時間半は、ストリーの繋がりがわかりにくく眠気に誘われた。

「猿の惑星」といえば、1作目が抜群に面白かったし、画期的だった。町山智浩の本を読んで知ったのだが、1作目の原作はフランス人の作家ピエール・ブール。ブールは、ビルマで大規模農園を経営していたが、第二次世界大戦で日本軍がビルマを占領すると、捕虜として強制労働キャンプに送られ、日本人から家畜以下の扱いを受けた。

「猿の惑星」はブールが日本人にこき使われたという「立場の逆転」を元にしている。西欧では昔からアジア人を「猿」と呼んで蔑んできた。要するに、日本人を猿にみたてて創作したのが「猿の惑星」とのこと。日本人にとって、猿にたとえられた差別的な複雑な話ともいえる。

今回の映画で主人公の猿・ノアを演じたオーウェン・ティーグは、米Varietyで本人が語ったところによれば、6週間にわたって、“猿の学校”へ通ったのだという。

学校での学びを振り返り、ティーグは「猿の動き方って、柔らかさがあるんですよ」と語る。生態については「彼らすごく経済的なんです。彼らは一度座れば、快適さを得るために動き回るなんてことはありません」と説明。「ずっと同じ場所に留まり続けるんです。人間は常に足を動かし続け、手で何か作業していますよね」。

猿は人間と同じく二足歩行だが、違うのは手を用いながら歩くこと。そうした感覚を会得すべく、ティーグをはじめとするキャストは、松葉杖を切断して作られたエクステンションを腕に装着することで歩き方や走り方を学んだとのこと。

今回は、ノヴァという女性以外は画面に大勢の猿ばかり出てくる。さすがに猿でお腹一杯になった。ペットでは「猿好き」よりは「猫好き」、「犬好き」が多いから、そろそろ「猫の惑星」とか「犬の惑星」の映画が出てきてもいいと思った。

なお、小説では梶尾 真治著作のずばり「猫の惑星」という本が出ていた。「犬の惑星」では、クレヨンしんちゃんのテレビアニメでそのタイトルの回があった。また、SUN POIKOという女性ミュージシャンが「犬の惑星」というアルバムを作成している。

 

参照:『猿の惑星/キングダム』猿役の俳優たち、「猿の学校」に1ヶ月以上通っていた