
「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」2023年製作 アメリカ 原題:Wonka
2005年製作のティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演の「チャーリーとチョコレート工場」は、だいすきな映画。物語も映像も踊りも含めてヘンテコなところが多くて、ブラックユーモアあふれた忘れられない面白い映画だった。
その映画の原作はロアルド・ダールによる名作児童小説「チョコレート工場の秘密」。そこに登場した工場長ウィリー・ウォンカの始まりの物語を描いたのが、「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」。「世界一のチョコレート店を開く」という夢を抱いて、1人の青年がある町にやって来る。彼の名前はウィリー・ウォンカ。
でも、「チャーリーとチョコレート工場」という傑作を撮ったティム・バートン監督とは別のポール・キング監督が前日譚である本作を撮るという時点で、ぼくのテンションは下がっていた。映画の面白さはあまり期待はできないと思った。
しかし、その予想は嬉しいことに大外れで、とても映画は面白かった。
食べたら空を飛べるチョコレート、顔や髪の毛が伸び、食べたチョコレートの色に変わってしまう事件があったりと、ちょっとしたアイデアがお話に起伏をつけている。
おいしいチョコレートはキリンの乳を使うのだということで、チャーリーといっしょにホテルで働かされている黒人の捨て子の少女ヌードルがいっしょにでかける。キリンが飼われている部屋のような檻の中に入って、キリンと対面し、チャーリーはキリンの乳をしぼっている場面がある。
キリンはとにかく大きく圧倒させる存在感があり、まるで可愛らしい怪獣の趣。キリンとチャーリーとヌードルのいる空間が独特な雰囲気を作っていた。なんで、ここのシーンがこんなに頭の中に残って離れないのか、もう一度その場面を観直したい気分だ。
ウンパルンパ演じるヒュー・グラントも、キャラクターがとてもユーモラスで面白かった。「チャーリーとチョコレート工場」でも感じたのだけど、中年のとても小さな男が、おもしろくもなんともないようなきまじめな顔をして変なダンスを踊ると、どうしてこんなに目が離せなくなるのか。
ところで、今年63歳になったヒュー・グラントはイギリスの無料紙『メトロ』に対し、実のところ「俳優である」ことも少し嫌だと思っているものの、まだ小さい5人の子どもたちの幸せのために、仕事を続けていると、打ち明けたという。
「(映画製作に関わるのも)少し嫌なのですが、子どもがたくさんいるので、お金が必要なのです」とのこと。
ヒューが演じるオレンジ色の小人「ウンパルンパ」には、コンピュータグラフィックスで生成した映像(CGI)が使用されているが、その撮影のプロセスについて、ヒューは次のように話している。
「まるで、“イバラの冠”をかぶらされたよう(まさに受難)でしたよ。とても居心地の悪いものでした」「私はもう、大騒ぎをしましたよ。すべてが最悪でした……実際、体をひどい状態にしなければなりませんでした」ヒュー・グラントのこのコメントは、本気か冗談かわからないけれど、改めて独特な魅力を当映画の怪演と合わせて感じさせてくれた。
参照:ヒュー・グラント、ウンパルンパ役は「嫌だった」!? 人気俳優が明かした本音