「人間機械」インド・ドイツ・フィンランド合作 2016年製作 原題:Machines
ラーフル・ジャイン監督の「人間機械」というドキュメンタリーを見た。インドの北西部グジャラート州にある巨大な繊維工場の中にカメラが入り、そこで1日12時間働く人々と工場の内部の光景が次々と映し出される。
著しい経済成長を遂げるインドのもう1つの現実を観客に見せてくれる。流麗なカメラワークによる映像は美しさを漂わせる。
工場内の隅で、ホースから出る水を使って裸になって体を洗っている人々や、高く積まれている捨てる繊維?を布団替わりにして朝まで眠っている数人の労働者がいる。
いつ、話す人が出るのだろうと、思いつつもカメラは工場内の様子をたんたんと映し出していく。工場内の機会音だけが聞こえて内部では会話は禁じられているかのように、もくもくと働いているひとだけ。まだ、中学生くらいの少年が半分眠りに落ちながらも、作業をしている場面もあった。
そしてようやく労働者の中で語る人がインタビューに出てくる。
「労働者が団結すれば会社と交渉ができる。なのにしない。いざ作ればリーダーが殺されるからだ」「ボーナスも貯蓄も休暇もない、何も残らない」というような発言が耳に残った。
基本は工場内で働く人々を含めた光景の連続で、このようなドキュメントのスタイルがあることが新鮮でもあったし、また自分が途中で見るのに飽きて他の映画にしなかったのも多少は驚きだった。
美しい織物を扱う工場なので、創り出す作品は見事なもので目を惹くのだけれど、そこで働く人々の過酷な生活も対比として感じられてくる。
工場の前で労働者が撮影者に言う。
「誰も現状を理解していない。問題を目の当たりにしてここから去っていく。だからこの状況をどうにかしてくれないか。あなたに力があるなら行動をおこしてくれ。取材が終わればいなくなるんだろ。演説して帰るだけの政治家と同じだよ」
その言葉は、配信動画の一つとして、部屋の中で見ているだけの自分も言われているがごとく響いてくる言葉。
