「ロリータ」 1962年製作 アメリカ 原題:Lolita

『ロリコン』と言うと、イメージ的にあまりよくないが、『ロリータ』というと同じ少女愛でも、言葉にイマジネーション的に広がりを持つ世界観を感じさせる。ロリータは、『魅惑的な少女』の代名詞に使われている。

ウラジーミル・ナボコフの小説の「ロリータ」という本は、出だしの文章に惹かれてかなり昔に購入した。その大久保康雄翻訳の小説の出だし。

ロリータ、わが命のともしび、我が肉のほむら。わが罪、わが魂。ロ、リー、タ。舌のさきが口蓋を三歩すすんで、三歩目に軽く歯にあたる。ロ。リー。タ。

それで、「スタンリー・キューブリック監督の映画「ロリータ」はどうだろう?」と、思い立ちU-NEXTでの動画配信で見た。

中年男のハンバートは大学で講義するため、パリからアメリカにやってきた。下宿を探し、候補として未亡人宅を訪れたハンバーは未亡人の娘ドロレス、通称ロリータを見て一目惚れする。直ちに下宿をそこに決める。

やがて未亡人はハンバートに惚れて結婚を迫る。結婚を迫られた男はロリータのそばに居たいがために結婚を承諾する。ロリータへの欲望を秘めつつ、偽りの結婚生活が始まる。ロリータがキャンプに行っている時に、夫婦喧嘩をきっかけとしてハンバー
トの日記を奥さんは読んでしまう。ハンバートの心は娘にあることを知り・・・・・・。

ハンバートがロリータに最初に出会う場面が効果的。心を奪われるのもうなずけるような、水着姿で庭で日光浴していたその魅力的な事。まさに光り輝いていた。

女性は原作では12歳という設定だが、映画では17歳程度に見えるのであまり幼児性愛という印象は持たない。若い女性に夢中になった中年男性というイメージだ。

本作は厳しい検閲に遭ったが、公開されると大ヒットを記録した。性的な場面は特にないし、センセーショナルな内容とは今では思えないが物語はかなり面白かった。

ロリータは、容姿は綺麗だが、気まぐれで浮気症で人間としての中身は特に秀でたところを感じさせない。それでいながら男が我を忘れてあんなに夢中になってしまう事の「哀れ」さと人間の「執着の不思議さ」が伝わってくる。

小児性愛者である主人公の心理を描くことが ナボコフの小説の「ロリータ」にとっての主題と挑戦であったとすれば、その映画化は、キューブリックにとっても同様の挑戦であったはずだ。しかしハリウッドの自主規制コードやカトリック団体からの抗議により、キューブリック監督自身が「ハンバートとロリータの関係のエロティックな面を強調することができなかった」その事を残念がっていたという。