映画館に行った時にグレタ・ガーウィグ監督の「バービー」の予告編を見た。映画は8月11日に公開との事。やたらピンクっぽい画面に、バービー人形の役を演じるには、もう少し若い人のほうが似合うのではないだろうかと思わせるマーゴット・ロビーが演じている。おとぎ話のようなキラキラした画面を見て、どこか違和感も感じたし、「変な映画だとな」と思った。
この映画は最初の週末に米国内だけで約220億円の興行収入を記録し、4月に公開された「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を抜いて、今年の最大のオープニング興収を記録した。「バービー」の初週末の興収は、女性監督作品として史上最高額を記録したというからすごい。
「バービー」の初期のレビューは概ね好意的で、批評家はこの映画の「バブリーなユーモア」を「ピンクの熱病の夢」と称賛している。
バービー人形の「どこをどのように見せると、そんなヒット映画につながるのだろう?」と、素朴な疑問を持った。
7月25日放送の『こねくと』というラジオ番組で映画評論家の町山智浩がこの映画を取り上げていた。
バービーたちが住む世界(バービーランド)では、女性がみんなバービーという名前で、色々な職業のバービーが活躍している。
宇宙飛行士もあるしね、消防士さんとか、大統領のバービーもあって女の子たちに「女性にもあらゆる可能性があるんだ」っていうことを示すおもちゃにバービーはなっている。
主人公のバービーにはいつもそばにいるケンというボーイフレンドがいる。ケンはハンサムでバービーと一緒にいる以外になにもない男。これをライアン・ゴズリングが演じている。こちらも、マーゴット・ロビー演じるバービーよりもさらに年がいっているので、中年カップルのように見えてしまう。そこの世界に住む男はみんなケンという名前。
ある時、バービーは自分のいる世界を抜け出して、現実の世界に旅立つ。現実世界に入ると驚くことにバービーランドのようではない。
アメリカの大統領は女性がなったことないし、アメリカの企業は女性の進出がかなり進んではいるけど、重役にはなかなかなれない。女性パイロットもそれほど多くはない。「あれ? なに? 現実世界っていうのは女性が支配していないの?」ってバービーはびっくりする。
2人はマテル社の本社に行く。マテル社は、バービーを作ってるにも関わらずマテル社の重役は男ばっかり。
だからバービーは、「バービーランド」は夢の世界だったってことを思い知る。それでケンの方は「すげえ! やっぱり俺は男だ! 今まで、自分が何者かわからなくてとても不安だったけれど、男がこの世界を支配すればいいんだ!」と思って、バービーランドに帰って反乱を起こす。
「バービー」という映画は、自分の居る世界と真逆な世界を体験して、今までの自分の存在が根底から崩れていくというストーリー構造になっていることを、町山の解説を聞いて知った。これは面白そうと思った。
バービー人形を世に送り出している会社「マテル社」が映画に協力しているのもすごい。映画の中では「マテル社」の組織体制の批判のような内容もでてくるからだ。
町山智浩は、『「バービー人形の映画? バカじゃねえの!」と思う人も多いかもしれないんですけども。とんでもない革命的な映画になってますんで、ぜひご覧ください。』と言っている。映画の開始日である11日が楽しみになってきた。
参照:映画『バービー』がマリオを抜いて今年最大級のヒットに
町山智浩 映画『バービー』が革命的作品である理由を語る
