「結城るみな」というAV女優の1年前のインタビュー記事が最近、読んだ記事のなかで最も印象が強かった。

過去のAV女優のインタビューが、下品な一般的な興味だけではなく面白いのは、彼女が自分の波乱にとんだ人生を、とても冷静に分析できているからだ。

彼女のセールスポイントは、皇族が通ったことでも知られる名門・学習院大学のミスコンでグランプリを受賞したという経歴。

 

また、Twitterに《何故私がAVデビューしたかって…? お前への復讐》と投稿したことが話題を呼び、デビュー前から注目を集めた。2021年9月には、覚せい剤取締法違反で逮捕され、「致死量に近い覚醒剤を使用していた」と本人も語る。

だから頭が良くて容姿に恵まれ、普通にいけば高学歴の青年と結婚でもして悠々自適の生活を送れていたかもしれないのに、なぜいきなり逆方向の道に逸れてしまったのか?という不思議さから興味が湧いてくる。

ぼくの気になった彼女の答えた言葉を抜粋し、言葉を繋ぎ合わせると、以下のような内容になる。

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● 私は一番になれないんだ
逮捕前の3カ月間くらいは薬物中心の生活になっていました。食事はのどを通らないし、倦怠感で身体を動かすこともできない。激やせして手は震えるし、言動もおかしくなって……。仕事に穴をあけることも増え、周囲から「やめないとヤバイよ」と忠告されていたほどでした。

逮捕された時はとにかく両親に申し訳なくて、「ごめんなさい、ごめんなさい」って泣きわめいていました。実は、母とはAVデビュー後、音信不通になっていました。母は私がAV女優になることに反対していたので、私は「捨てられた」とばかり思っていたんです。

でも逮捕される直前に会いに行った時、母は「距離を置いていたのは、私がいると仕事に迷いが出ると思ったから」と言ってくれて……。

私は3歳からクラシックバレエを習っていたのですが、中学2年生の時、周りのプロを目指している子とのレベルの差に気づき、「私は一番になれないんだ」と自信をなくしてしまって。練習をさぼって放課後に遊び歩くようになり、辞めてしまったんです。

初体験したのもその頃で、あっという間に経験人数は20~30人になっていましたが、学校ではいい子ちゃんぶって「下ネタ無理」みたいな感じで通して……。表と裏の顔を使い分けて生活することに、楽しさすら覚えていたと思います。結局、万引きで補導されたことで、「裏の顔」はバレてしまいましたが……。



――そして大学に入学すると芸能事務所に所属。2016年、大学3年生でミスコンに出場してグランプリを受賞。

駆け出しでなかなか仕事がない時期だったので、これで箔が付けばいいなと思い、出場を決めました。まさかグランプリをもらえるとは思っていなかったので、本当にうれしかったのですが……。ミスキャンパスというだけで仕事が舞い込むわけでもないし、オーディションを何回受けてもうまくいかない。清楚なイメージがついてしまったことで、自分をどう売り出したらいいのかわからなくなり、不安が募って……。

● あ、これヤバいやつだ
私、21歳のときに少しの間だけ吉原でソープ嬢をしていたんです。

当時、付き合っていた男性と同棲していたんですが、普通のアルバイトだけじゃ生活が苦しくて。そんな時、友人から紹介された男性に「一晩50万」と持ち掛けられました。その時、「あ、私の身体ってお金になるんだ」って気づいてしまったんです。それから彼氏も公認で、風俗で働くようになりました。

「裏の顔は隠せる」という自信がありましたし、お金のためと思えば罪悪感もなかった。エッチは嫌いじゃないので、仕事も楽しんでいました。稼いだお金で彼氏と美味しいもの食べて、まあまあ幸せだったと思います。でも彼が浮気するようになったことで、精神的にしんどくなり、2019年の6月に別れることになって……。

失恋して塞ぎこんでいるとき、気晴らしになればとワンナイトの相手を求めてマッチングアプリに登録しました。それが運命の分かれ道でした。アプリを通じて出会った男性がきっかけで、薬物の扉を開いてしまいました。

2019年10月、元カレとの同棲生活を解消して、一人暮らしを始めた頃でした。男性の第一印象はミステリアスな人。でも、今思えばちょっと様子がおかしかったですね。落ち着きなく部屋をウロチョロして、ウーバーイーツのお釣りをもらったはずなのにないと言ってゴミ箱をひっくり返して……。

彼と4日間くらい一緒にいる中で、コカインと覚醒剤もやってしまいました。恥部に白い粉を塗られてそのまま4~5時間セックスしたことも大きかったかもしれません。いわゆるキメセクですね。テーブルの上に線を引くように置いた白い粉を「鼻で吸って」と言われた時に、「あ、これヤバいやつだ」って気が付いたのですが、断ることができずにやってしまった。男性がパイプを取り出して覚醒剤を炙りだしたときも、違法薬物だと感じつつ、言われるがままに吸ってしまいました。

会ったばかりなのに、その男性に夢中になっている自分がいました。彼に「結婚しよう」って言われて舞い上がったかと思えば、「死ぬ」と言い出した彼を泣きながら引き止める。彼に「お前、飛び降りろ」と言われて、本当に高層マンションの窓から身を投げそうになったりもしました。

● 薬物に恋してたんだ
実は、その男性がAVのスカウトだったんです。もともとAVを見るのは好きだったし、2019年の夏には元ミスキャンパスを売りにデビューしないかというお話もいただいていました。だからその男性から「AV女優になりたいなら紹介するよ」と誘われた時、これがもう一度表舞台に立つチャンスかもしれないと思って……。


 

最初の撮影の時は、もう後戻りできないという恐怖や、両親への申し訳なさで、更衣室でシャワーを浴びながら泣いてしまったのですが、後悔の気持ちはまったくありませんでした。デビュー前から大きな反響をいただいて嬉しかったし、AVに出たことで貧乳というコンプレックスを自信に変えることもできました。きっかけはどうあれ、結果的にAVは天職だったなと今でも思っています。

当時の私は、その男性のことを本気で好きだと信じ込んでいて、彼に嫌われたくないから薬物をやるしかなかった。でも、彼が2020年10月に薬物依存の更生施設に入ったことをきっかけに、あることに気が付いてしまったんです。

薬がすぐ手に入らなくなって、薬がほしくてほしくてたまらなくなったんです。それで「男性に恋してたんじゃない、薬物に恋してたんだ」って。そこから、自分で薬物を買い求めるようになりました。

AVの撮影は月に数日ですが、変な話、報酬は束になるくらいの額をもらえます。時間とお金を持て余して、夜にホストクラブを飲み歩いては、覚醒剤を求めるという生活でした。お金で楽しい時間が買えるっていうのを覚えてしまったんですね。夜の街でちやほやされることで、将来の不安をかき消していたのかもしれません。

――逮捕後、結城るみなは46日間を拘置所で過ごし、懲役2年、執行猶予3年の判決を受けた。

いろいろな事情があって勾留期間が伸びたのですが、きちんと三食食べる規則正しい生活をさせてもらい、健康状態はかなり回復しました。でも、私は体の中に薬物が残っている状態で逮捕されたので、離脱症状にはかなり苦しみました。

● 自分が自分らしいなと感じる 
逮捕を知って、母は相当なショックを受けたはずなのに、面会に来た時には取り乱すことなく、「落ち着いて心を整理しなさい、そして身体を労って」と声を掛けてくれました。そして保釈後は、一緒に実家で暮らそうと言ってくれて……。保釈後に生活を乱さず、薬物治療をしっかりできたのも、両親の支えがあったからこそ。本当にいくら感謝してもしきれません。

よく「薬物事件には被害者がいない」と言いますが、私は両親や仕事の関係者に嘘をつき、裏切り、傷つけてしまった。そこの後悔は消えません。ただ、一方でこの経験からすごくいろんなことを学ばせてもらったとも感じています。

それは人に感謝する大事さや愛だったり……。そして、自分にとっても必要な経験でした。これまでの私は表の顔と裏の顔を使い分け、表面だけいい子に振る舞っていました。でも逮捕されて、これ以上ないところまで落ちたことで、そんな乖離した自分が、ひとつにまとまりつつあると感じるんです。

 誰かの期待に応え、理想の自分であるために無理をしていた反動で、万引きや薬に走っていたのだと思います。だから今、ある意味自分の人生がちょっとすっきりしたところがあって。今まではミスキャンパスの「清楚」「才女」のイメージにあわせて黒髪に白い服というスタイルが求められていましたが、今は金髪に黒の服という自分の好きな恰好ができています。

逮捕されてやっと、自分が自分らしいなと感じることができるようになったんです。この自分でまたAVに復帰できたら……。それを目標に、いまを生きています。

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これからの”結城るみな”の生き方がまた次の新たな関門になるのだろうけど、彼女の記事を読んだ後はまるで今までの問題の全てが解決したドラマのような一種のすがすがしさまで感じてしまう。

彼女の生き方と語った言葉を通して、本質的なものを隠さないではいられない普通の生活の”生きる”という事の窮屈さ、嘘で固めてしまう”自分という存在の希薄さ”に関して考え直す、一種の刺激になる記事だった。

 

参照:結城るみなが明かした「致死量に近い覚醒剤」を使用していた“きっかけ”

          覚醒剤に“堕ちた”元ミス学習院AV女優・結城るみな