「ザ・フォーリナー 復讐者」2017年製作 イギリス・中国・アメリカ合作 原題:The Foreigner
高校生の娘を持つクァンは、ロンドンで小さな飲食店のオーナをしている。妻に先立たれてから、娘のファンを男手ひとつで育てていた。娘・ファンの学校帰りに車で迎えに行く。
娘は彼氏に「パパがまってるから行くね」と言ってクァンの待つ車に向かう。クァンは、娘の卒業式で着る服を買いに付き合う。娘と父親の何気ない会話が始まる。
父「彼を紹介して」
娘「名前はピッチャーで。 パーティで合える」
父「その前に」
娘「せっかちなんだから」
娘は『彼氏がリムジンで迎えに来るが、そのリムジンも運転手もレンタルだから安心して』と、いうような父親の心配に対する会話が続く。
父「そのドレスきれいだろうね」
娘「絶対気に入る。 降りる」
父「駐車してから」
娘「売れてしまう」
父「ファン 車に気をつけて」
娘は車から降りてブティックに入る。その後、クァンが駐車するタイミングで、バックしていた前の車とぶつかる。ぶつかった車のドライバーが降りて、クァンに文句を言いに来たところで、娘が入ったブティックの建物に、突然の大爆発が起きる。
あわてて、崩壊した建物の中に娘を探しに駆け込むクァン。いつもの何気ない娘の言葉が、彼女から発せられた言葉の最後となってしまう。
ぼくは自分と置き換えて考えてみて「この世とおさらばする直前は、誰とどんな話をしているのだろうか」と、考えてしまった。それはここ数年で、身近な人が亡くなっているので。
マーティン・キャンベル監督の「ザ・フォーリナー/復讐者」は、元特殊部隊員のクァンが政治的な無差別テロに巻き込まれた娘の復讐に立ち上がる物語。脚本は「エネミー・オブ・アメリカ」のデビッド・マルコーニが手掛けている。
マーティン・キャンベル監督は2006年に「007 カジノ・ロワイヤル」を撮っていて、007の映画ではぼくが一番気に入っている作品だ。
娘を亡くした父親クァン・ノク・ミンの役を演じたのはジャッキー・チェン。ぼくが知っているジャッキーの顔よりはだいぶ年をとってしまったが、アクションはまだまだ健在だ。但し彼の、戦いの場所にある小道具をたくさん使った細かなアイデア満載のカンフーアクションは、今回は封印している。よりリアルな戦い方に変えているが、それではちょっと物足りない。
タバコを導火線として使った爆弾など、爆弾をセットした爆発のシーンが何度か出てきてその多様性が興味を引く。
また、テロ爆発の背景には政治的な当時の状況を反映させている。クァンのこんな発言がある。「テロと政治は頭と尻尾が異なるだけで同じ蛇だ」けれど、映画を観ただけで背景となる政治的状況の詳しいことを知らないので、実は面白さが半減しているかもしれない。
楽しめた映画ではあるけれど、今回のシリアスなムード一辺倒の映画ではなくて、ジャッキー・チェンが出る映画だったのなら、もう少しユーモアも含んだアクション映画のほうがぼくには向いているようだ。
