「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」2022年製作 アメリカ 原題:Everything Everywhere All at Once
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は、やけに長いタイトルで、舌を噛みそう。
映画の券の購入の際にタイトルを言ったところ、「え?」と、聞き返されてしまって苦笑い。もうちょっとシンプルなタイトルにしてもらいたいところだ。意味は「あらゆるものが、あらゆる場所に、一斉に」。ネットの記事でも、長すぎるので略して「エブエブ」と呼ばれている。
コンビ・ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)監督の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は、絶賛する人がけっこういてアカデミー賞でも最多10部門11ノミネートされているという注目作品だ。
ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督は、「スイス・アーミー・マン」という作品を撮っている。ちなみに「スイス・アーミー・マン」は、無人島に漂着した青年が、絶望して命を断とうとしたとき、波打ち際に男の死体が打ち上げられているのを発見。死体からはガスが出ており、浮力があることに気付いた青年は意を決し、死体にまたがり無人島脱出を試みるという超ヘンテコな作品。
「エブエブ」に関して週刊文春の「Cinema Chart」で、映画を見る前に評価を参照した。星を点数に換算すると5人中、2人が100点をつけていて、あと2人が80点、そして一人が60点で、平均すると84点という高評価を得ている。
「これは娘さんを持つ親御さんなら、もう号泣の映画ですよ。これ、親の愛の話なんだけど、娘が拒否するわけですよ。で、宇宙の果てまで追っかけていくんですよ。」と、映画評論家の町山智浩がラジオで述べていた。でもぼくには泣けなかった。
映画を見て思ったのは、ひさびさにスクリーンでカンフーアクションを見たということ。その懐かしさと、面白さでまたカンフーがメインである映画を大きなスクリーンで観たいと思った。主人公の旦那さんの役をやった”キー・ホイ・クァン”のアクションが、ジャッキーチェンを思い出させて、ジャッキーのカンフー映画も見直したくなった。
企画の初期段階では、主人公は父親、ジャッキー・チェンをキャスティングするという構想があったが、それがかなわず「主人公を母親にする」という結論に至ったそうだ。どうりで、アクションが似ていたわけだ。
また主人公のミシェル・ヨーは、ジャッキー・チェンと昔「ポリスストーリー3」(1992)に出てたカンフーの得意な女優との事。1997年公開の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」では中国の情報部員役でボンドガールを務め、ハリウッドデビューを果たして、以後ハリウッド作品への出演も増加したという。
あとは太った娘役の子は、なんだか宇多田ヒカルを想いだした。『若くて太ったころの宇多田ヒカルに演じてもらったら面白かったかな?』などと映画の筋とはあまり関係ないことを思っていた。またお笑い芸人の”やしろ優”に似ていると指摘する人がいたが、確かにそっくりだった。
でもあの美人だった母親と、ハンサムな父親からどうしてまたあの娘になるのか?
アクションで、下半身何もはいてない状態や、お尻の穴に器具をつっこんだまま戦う場面、大人のおもちゃのようなゴムでできたちんちんを持って戦うなど、かなりふざけた描写があった。それと犬を振り回す場面などもあったりしたけど、ぼくにはあまり面白くなかった。映画で使われていたマルチバース(多元宇宙)という手法が、映画記事ではよくとりあげられているけど、その手法が映画のテーマに合っているのか効果的なのかは疑問。総じてぼくにはイマイチの映画だった。
この映画のごちゃごちゃした感じは、 ブラッド・ピット主演の「ブレット・トレイン」の時に感じた感覚に似ている。全ての設定が作り物めいて、キャラクターに感情移入できないから、瞬間的なシーンで楽しめる場面はあっても、映画全体で退屈してしまうのだ。
カンフー映画の面白さを思い出させてくれたというところだけはよかったけど。
参照:町山智浩『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を語る
