全体に霧がかかっているような、何かモヤッとしてスッキリしない事件だ。
男は54歳で女性は24歳。ちょうど30歳ほど離れているから、親子ほど年の離れたカップル。
2月2日、54歳の男性・石川晃容疑者は平林さなさんと東京・府中市にあるラブホテルに入って、約4時間後の午前6時15分頃に一人で外出した。その間に平林さんを殺害したとみられている。
『持っていたナイフで首を三回、刺して殺しました。首を刺した理由は確実に殺すためです』と、容疑を認めている。その「確実に殺すため」と自らの意志を表明するほどの彼女に対する恨みとは何なのか。
週刊文春2月16日号に、事件の記事が掲載されたのでそれを元に事件を辿っていきます。
● カード番号が晒された
事件発覚の約7時間前。ホテルから1キロほどのところにあるマンションの前で倒れている中年男が発見された。
白髪交じりのボサボサの髪、中背で痩せ型の男は、酒に酔っているのか足元はおぼつかない状態だったという。
警察官が男の所持品を確認すると平林さんのマイナンバーカードを持っていた。
「友人の忘れ物。次会ったときに返す」男はこう話し、警察官に自宅まで送り届けられた。その男が石川晃だった。
なぜ、平林さんのマイナンバーカードを持っていたのか。彼女の身元を隠すために殺害の後に持ち去ったのか、それとも別の理由があったのか。
石川晃は平林さんの実家と同じ府中市内の家賃6万円ほどのワンルームマンションに住んでいた。逮捕後、部屋の中から二本のサバイバルナイフが見つかり、一本には血のりのようなものがついていたとされる。
石川は、警察にずいぶんかかわりのある男で、昨年12月、府中署に駆け込んだ。
「カード番号が晒された」そう訴えた。
「石川は平林さんに決裁アプリ用のカード番号をスマホでSNS上に晒されたと訴えたのです。しかし、直後に『私が教えたもので勘違いでした』と訴えを取り下げた」
(社会部記者)
「石川さんと平林さんの間で、なんらかの金銭的なやりとりがあり、トラブルとなったのではないかと見られている。石川は『(平林さんに)一千万円以上をつぎ込んだ』とも供述しています。ただ、石川の一方的な妄想の可能性もある」(別の社会部記者)
石川は精神状態を調べるため鑑定留置が行われる見通しだという。
● 面接では『女優志望です』と
平林さなさんは、幼稚園から私立に通い、高校は女子高に進む。学校の部活とは別にプロの阿波踊りパフォーマンス団体に所属していたという。
2016年頃、阿波踊りの団体を離れる際にある夢を語っていた。「地下アイドルに興味がある」彼女は自分の居場所をさがすべく芸能界の門をたたいた。
当時の所属事務所社長が話す。「面接では『女優志望です』と言っていました。お父さんは芸能界の男性関係などを心配しており、前向きではなかったのですが、本人は強い志望もあって契約をむすびました」
しかし平林さんはわずか半年でグループを脱退することになる。
彼女が新たな場所として選んだのは新宿歌舞伎町だった。2019年秋ころからはサパークラブで働いていたという。
その彼女の前に現れたのが石川だった。
「二人は店の客とキャストの関係だったが、石川は交際関係にあったと主張しています」(社会部記者)
つまり、石川の説明の言葉を拾うと平林さんとは交際関係にあり、一千万以上つぎ込んで結末は、確実に殺したいほど憎しみで頭が一杯になり殺害したということになる。これが社会部記者の言う”一方的な妄想”だったのか否かは今後、はっきりしていくのだろうか・・・・・・・・・・。
参照:週刊文春 最新号
〈府中市ホテル殺人事件〉元アイドルをメッタ刺しした無職中年男(54)は「4年前から精神的に参っていた」
