「愛と宿命の泉」1986年 フランス 原題:Jean de Florette, Manon de Source
 

最近よくレンタルしている韓国ドラマを飛び越して、いきなり今年のトップに立つくらいに面白かったのが、クロード・ベリ監督の「愛と宿命の泉」。1986年制作のフランス映画で第12回セザール賞で最優秀男優賞、最優秀女優賞、第41回英国アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、撮影賞、脚色賞を受賞している。

いつもDVDはTUTAYAから借りているんだけど、営業時間が終わるのが夜の10時とぼくには早すぎる時間。いつものごとく、「蛍の光」の曲が流れてきて、大慌てで手にしたのがこのDVDだった。慌ててレンタルもたまにはいいことがあるのものだ。

フランスの景色がとてもいい田舎の農村の1920年代のお話。あまり頭がよくなさそうなやせた目のキョロキョロした落ち着かない青年が兵役を終えて帰ってくる。彼は村でカーネーション作りを始めた。服装にもこだわらないし清潔感に乏しく仕事以外に趣味もない。

そこに、ずるがしこそうな独りで暮らしている“パペ”と呼ばれるお爺ちゃんの伯父が、悪い知恵をさずけて甥であるキョロキョロ男をコントロールしていく。

彼らの村に、都会からきたせむしの男とその家族が農業を始める。しかし、水の出る場所をキョロキョロ男と爺ちゃんでコンクリートで塗り固めて水源がみつからないようにしてしまう。それで彼らが農業をあきらめて立ち去るのをひたすら待つ。そこの土地を安く買おうと狙っている。

都会から来たせむしの男は、外見はせむしなのだが教養もあり、奥さんも上品な美人で娘のマノンは美少女で仲のいい3人家族。最初は農業もうまくいってたが、やがて水不足に苦しむ。爆弾で、硬い岩盤を爆破して一気に井戸を掘ろうとするが、岩盤の破片を身に受け命を落としてしまう。

セムシの奥さんは、再びオペラ歌手となり村を離れるが、娘のマノンはその土地に留まり丘で羊の群れを追いながら暮らしていた。しかし愛する父親を水絶ちで死に追いやったキョロキョロ男と爺さん・パペへの恨みは美しい娘に成長した今も忘れてはいない。

今まで女性にほとんど感心がなかったキョロキョロ男は、森の中で水浴していたマノンを目撃し、彼女の美しさに目を見張る。
自分が死に追いやったせむしの家族の娘にぞっこんになっていく。

「自分は顔も醜くいので相手にしてもらえない」と、弱気な言葉を吐くと爺さんは「スベラン家の申し込みなら断らんさ。断るはずがない」と、娘に告白すること、結婚することをすすめていく。

ひたすら娘を追い、届かない愛の言葉を彼女に叫び続けるキョロキョロ男もなんだか物哀しい。ついには、彼女のリボンを体に縫い付けるという痛々しい奇行にも走る。

ある日の事、偶然に山の中で村の水源を発見したマノンはそれを塞ぎ、村への水の流れを断ち切ってしまう。村はたちまち水不足に陥いり、生活が困難になる。それは父を死に追いやった村人への復讐であった。

そして水が出なくなった村に水を呼び戻すために聖母行列に参加してほしいと、村の神父が彼女に頼みこむ。キョロキョロ男も「マノン、俺の花を救ってくれ!」と、お願いすると、マノンは涙ながらに叫ぶ。「父の水を盗んだ男たちのために?」ここで、秘密にしていたキョロキョロ男とパペ爺さんの秘密が暴かれてしまう。

そして運命をあやつっていた爺さんも、物語の終盤に自分の今までの自分の人生を全否定されて打ちのめされるような事実を突きつけられる。

映画を見た後から知って驚いたことに、とても美しかったマノンを演じた女優・エマニュエル・ベアールとキョロキョロ男を演じたダニエル・オートゥイユは、この映画以前から事実婚をしていたとのこと。映画では、男が追っても叫んでも、振られっぱなしの運命だったけれど、現実世界ではゴールインしてしまったということだ。

エマニュエル・ベアールは、結婚した年に長女を出産するが、残念なことに2年後に別れてしまったという。

それからいじわるじいちゃん・パペを演じたのはイヴ・モンタンで、シャンソン歌手でもあり「枯葉」が有名。YOUTUBEで聞いてみて、その心地よい声の良さとメロディの軽さと曲から浮かぶ色々なイメージにしびれてしまった。彼が若いころに出た別の映画も見たいと思った。