「リップヴァンウィンクルの花嫁」 2016年 日本
 

岩井俊二監督の黒木華が主演の「リップヴァンウィンクルの花嫁」を見た。監督は黒木華の魅力をこのように語る。       

「普段感じるものを感じない、普段感じないものを感じるところですね。主役に自分自身を演じてもらうわけではないですが、華ちゃん本人との違和感がありませんでした。自分が描きたい世界があって、そこに生身の人間がくる以上、若干の違和感が必ずある気がしますが、そういうのをあまり感じたことがなかったです。」                                         

黒木華が演じる派遣教員の皆川七海は、群衆の中で一人の男を待っている。SNSのお見合いサイトで知り合った男で、やがて結婚までこぎつける。部屋で男の寝顔をみながらふと思う。

「ネットで買い物するみたいに、あまりにもあっさりと手に入ってしまった。なんかあっさりと手に入ってしまった彼氏だけど、彼にとっても、あたしはあっさりと手に入ってしまった女・・・・ってことになるのかな。ネットで買い物するみたにに、あっさりと・・・・ ・・・・ワンクリックで」

二人は結婚式の準備をするが、友人もいなく親戚も少ない七海側の招待者が圧倒的に足りない。悩んだ七海はSNSの仲間から、結婚式の代理出席があると聞き業者の安室を紹介してもらう。

しかし、結婚生活は身に覚えのない浮気を疑われ、突然の理不尽な理由で一方的に離婚されてしまう。

その後、安室に月給100万円という好条件の住み込みのメイドの仕事を紹介される。『何か、性的な事と関連しているのでは?』とおもわせといて、実はごく普通の掃除をしたりするだけでどこから100万円というお金が出るのか不明のまま時間は過ぎていく。。

彼女に色んな事を紹介する安室というのが調子がいい怪しげなキャラで、綾野剛が演じている。優しい男なのか冷たい男なのか掴みがたいとてもいい味を出していた。

七海はメイドの仕事のお屋敷で知り合った破天荒なメイド仲間の里中真白と意気投合する。

詳しく書きすぎると、完全なネタバレになってしまうので、ちょっと話を飛ばすけど、七海は、自殺してしまったAV女優の親友がいた。その女優の葬儀の後に彼女の遺骨を安室といっしょに彼女の母に届けに行く。母は川崎に住んでいる。

昼から焼酎を飲んで彼女は訪ねて来た二人を迷惑がるのだが、二人にあがってもらいお酒を勧める。

「あーお母さん、飲みっぷりいいですね。」と、安室は感心しつつ、AV女優をしていた娘の残したお金やお墓の手配の相談をもちかける。

「一重のごまみたいな眼だったのに。もう誰だかわかんないよ」と、娘の写真を見て言う。

AV女優をしている事を知ったときの事を、七海と安室に伝える。「あんなのまともな娘がする仕事じゃないよ。知り合いに頼んで居所つきとめたよ。骨が折れるくらいに殴ったよ。顔を。何度も何度も。何もしゃべらなかったねえ。殴るだけ殴って帰ってきてそれっきりだ」

そこまでは普通の流れの話しなのに、なぜか突然60代にも見える母が、まずは靴下を脱ぎ、服を脱ぎ裸になっていく。七海と安室は大慌て。「お母さん、どうしました?お母さん、ここはトイレじゃないです」

 

「人前で裸になるなんて。恥ずかしいだけだ」と、言い泣き出す。『だったら早く服を着てくれ!』というぼくの内面の声もむなしく、裸のまんまの状態。

安室は裸の母といっしょに泣き出す。そして「お母さんの飲みましょう」と言って彼も突然、スッポンポンになる。「皆川さんも脱ぎましょう!」と振り、酒を飲んで陽気になり仏壇の前に置いた遺骨を拝む。七海はちょっと乱れた服装になって、コップ酒をどんどん飲んで泣き笑いながら酔っぱらう。

この突然のはちゃめちゃさが、ユーモラスで面白かった。但し、スッポンポンになったお母さんや綾野剛の熱演に対して裸とは言わないまでも、黒木華にも下着姿くらいにはなってほしかった。その姿でみんなでいっしょに笑って泣いて踊り狂ったら、この映画ももうちょっと話題になったかもしれないのにと、思った。

参照:映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』監督・岩井俊二&主演・黒木華にインタビュー