「フローズン・ストーム」 2020年 アメリカ 原題:Centigrade
 

作家のナオミは目覚めると、車中の中でドアを開けようとしたが、ドアが開かない。眠っている間に車に雪が降って閉じ込められてしまっている。場所は山道でほとんど車が通らないし、スマフォも電波がつながらず、充電も残りわずか。

ナオミはもう少しで目的地に着くのにひと眠りした夫のマットを責め、マットは妊娠しているにもかかわらず、サイン会の為にアメリカからノルウエーに車を走らせた妻のナオミを責めるという夫婦喧嘩の泥沼状態。

脱出するのは危険だと判断したマットはひたすら助けを待つことにするが、どれだけ待っても誰も来ないのであった。そんな車の中でナオミが産気づいてしまう。

この車の中だけの話で、約90分持つのかという心配があったものの、次の展開が気になってついつい画面に引き込まれ、観てしまった。

映画の途中で、これは実際にあった話を映画化していることを思い出した。細部の表現がやけにリアルだったから。序盤で妻がおしっこしたいと、困った様子だったときに旦那が「タオルにすればいい」と、アドバイスした。

『なるほど、タオルを使うわけだ。』と、納得したものの大のほうはどのような方法で20日以上もしのいだかは、映画にはでてこなかった。これが一番、大変な気がするのだが。

わずかながらウインドウが開くので、そこから雪をコップに入れて溶かして水にして飲料水として使ったりと、細かい日常の工夫の部分が出てくる。

最後のテロップで、ナオミはその後も作家を続けたという説明があった。だから映画の原作になったであろう彼女の車の中に閉じ込められた体験の翻訳本が出ていたら、読みたいと思った。

でも、どうにも情報が乏しくて探せなかった。まず監督ブレンダン・ウォルシュがどのような想いでこの映画を製作したのかを読みたいと思って検索したのだが、出てこないし、主演の作家のナオミを演じたジェネシス・ロドリゲスや夫を演じたビンセント・ピアッツァのインタビューにでも、この映画に関する話の中に原作の話がでてくるのではないかと思い、検索してみたがやはりヒットしない。

「車中泊 冬山 山道 映画化」 などで検索をしてみても、キャンピングカーでの実際の方法を述べたサイトが引っかかるだけ。

その検索である漫画家の話にたどり着いたのは、意味が違うが一つの成果だった。

その漫画家井上いちろう氏(53)は2019年4月に離婚、10月に家を売り払い、iPad で漫画を描き軽ワゴンでの車中泊生活に入る。そして全国を旅して歩き、その体験を漫画として発表する生活方法を選んだ。と、いうなかなか興味を惹かれる漫画家の生活。

話を元に戻すけれど、こうゆう『車に閉じ込められ脱出できなくなった』などの実際にあった話の映画化がぼくは好きなので、同じように実録物が好きな人にはお勧め。

 

但し、ぼくの奥さんは、「ちょっと無理」と言って見るのをやめてしまった。車の中でナオミが子供を産んだ後に、栄養の高い食べ物が車の中にない為に、お産で出た胎盤を食べる場面が出たのが見ていてしんどかったようだ。時間的にはほんの一瞬だったのだが。