2021年7月、大阪府の民家で1人暮らしの54歳の女性が自宅の浴槽で死亡しているのが発見された。
亡くなったのは、高槻市八幡町の都市銀行グループ会社員、高井直子さん。高井さんの親族から「浴槽で死亡している」と110番通報があり、その場で死亡が確認された。
高井さんは2021年7月21日に出勤し、定時に退社。4連休が明けた同26日に出勤せず、会社の上司が親族に連絡した。親族らが高井さん宅を訪ねた際、玄関は施錠されており、親族は鍵のかかっていなかった玄関近くの掃き出し窓から中に入ったという。
高井さんの両親は離婚しており、同居していた母親が施設に入ってからは、事件現場となった一軒家に彼女がひとりで暮らしていた。
● 両手を縛り、溺死を装って殺害した
高井さんは全裸で見つかり、顔の一部が浴槽の水に浸かった状態だった。右手首には、結束バンドが巻かれ、左手首にも結束バンドの跡が確認された。
酷暑のせいで遺体の腐敗が進み、当初の司法解剖では死因不詳とされた。社会部記者が語る。
「ただ、その後の調べで左手首に“皮下出血”の痕跡が見つかった。府警は、7月23日前後に何者かが高井さんの両手を縛り、溺死を装って殺害したと考えて捜査を進めていました」
遺体発見時、室内に荒らされた様子はなく、居間には携帯電話や財布、現金約70万円が入った封筒、通帳などの貴重品も残されていた。物盗りによる犯行の線は早い段階で消えたという。
それにしても雑な犯行の印象だ。何より結束バンドが、明らかな殺害意志のある証拠になっている。なぜ、結束バンドをつけたままにしたのか?気が動転していたのだろうか。
その高井直子さんの養子になっている28歳の高井凛((たかいりん、旧姓松田)が養子縁組の届け用紙を偽造したとして逮捕された。その偽造の逮捕よりは、女性の殺害に関わっていると疑われていることが明白だが。
その一方で注目されたのは、「高井直子さんに1億5000万円という巨額の生命保険が掛けられていたこと。そして、保険金の受取人が、昨年2月頃に彼女の養子になった今回の容疑者だったことでした」(社会部記者)
高井凛は、保険外交員として働いていたときに亡くなった直子さんと知り合う。独身で資産家だった直子さんは、2つの生命保険に加入し、総額1億5000万円の保険金がかけられていた。
直子さんはどのような事を言われて、養子縁組に同意するに至ったのか。高額の保険金を受取人のするほどの信頼を本当に彼に寄せていたのか。
● “カノジョ”のSNSには、高級ブランド品が
『凛』という文字の意味は『氷でとざされて寒い。きびしい。身がひきしまる』というが、その名を持つ高井凛は、そのイメージとは真逆の生活を送っていたようだ。

高井容疑者の知人が語る。
「最近まで住んでいたのは、家賃30万円は下らない赤坂の高級タワーマンション。その前は白金高輪のマンションで暮らしていたものの、“眺望が気に入らないから引っ越した”と聞いています。
普段の服装は、ダウンからパンツまでバレンシアガで揃えて、腕にはクロムハーツのブレスレットという感じです。保険会社を辞めた後は、ベンチャー系の金融企業に入ったみたいですけど、いまは個人で“FXをやって儲けてる”と豪語していました。
麻布十番のガールズバーで口説いた若いカノジョと同棲中だそうで、高級寿司店でデートしてはSNSに画像をアップすることも。体のあちこちにタトゥーがあって、右胸には英語のメッセージが彫られていましたね」
モデル風のスレンダー美人である“カノジョ”のSNSには、彼からプレゼントされたと思しき、カルティエの腕時計やブシュロンのリングといった高級ブランド品が並ぶ。
他方、彼が所属するアメフトサークルの関係者が言うには、
「アメフトにはかなり情熱を注いでいました。うちの現役選手の紹介で彼がチームに加入したのは昨年5月頃。昨年はチームの成績が芳しくなかったのですが、それが悔しかったようで“今年こそ日本一を目指しましょう!”と副主将に名乗り出たんです。パワーポイントを使って100ページ近い戦術プランまで作ってくれてね。まぁ、若いカノジョと一緒に、黒いランボルギーニで試合会場に乗りつけたときは驚きましたけど」
彼は、関西の有名大学でアメフト選手として鳴らしていた。
● 結婚については大変後悔している
FNNプライムオンラインの去年・7月2日の取材に、高井凛はこのように答えていた。
ーー養子縁組を行った経緯は?
もともと(高井さんは)独身できょうだいもいなくて
ーー跡継ぎとして?
そうですね、向こうから打診が来て検討して
ーーなぜ受けた?
受けないメリット、受けない理由がなかったです
ーー犯人にどう思う?
早く捕まってほしいと思います
ーー保険金の受取人になっていることを知っていたか
知らなかったです
ーー受け取っていない?
はい
今年3月、疑惑の養子縁組について、高井凛の当時の妻に尋ねると、こう答えた。
「警察の方との関係もあるので何もコメントはできません。(結婚については)私も大変後悔しているというか……。こんなことになるなんて夢にも思いませんでした。私としては一刻も早く離婚したいんですけど、いまは弁護士を通じて協議を続けているところです。ただ、向こうのことは全く分からないので……」
参照:浴槽内で死亡の54歳女性、生命保険は1.5億円 殺人事件で捜査
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