アメリカのテキサス州ユバルデの小学校で18歳の男が、教室に立ちこもって鍵をかけ教師と児童に向けてライフル銃を乱射した。事件は5月24日の昼頃に起った。児童19人と教師2人の計21人が殺害された。この学校の在籍生徒数は約600人だった
● これを防ぐ道はないよ
容疑者は地元の高校を中退したメキシコ系移民のサルバドール・ラモス。容疑者は駆けつけた国境警備隊の精鋭部隊員に打たれて即死した。

米知識層の間で人気のある風刺メディア「The Onion」は、以下のリードで報じた。(2014年以降、銃乱射事件を報道するときは同じ見出しをつけてきた。今回は21回目だった)
「人は、これを防ぐ道はないよ、だってこの国はこうしたことが定期的に起こる唯一の国家なのだから、という」
(No Way To Prevent This, Says Only Nation Where This Regularly Happens)
地元メディアのメキシコ系社会をよく知る白人記者は動機に関してこのように推測した。
「地元警察も米連邦捜査局(FBI)の目下、一切明らかにしていない。だが今までに表に出ている情報や憶測からシャーロック・ホームズ流に推理すれば、容疑者が狙ったのは小学校の教師だったのではないか、と思う」
「容疑者はこの小学校に通っていた。その時にこの教師に教わったのではないのか」
「そこで屈辱的な扱いを受けていた。18歳になるのを待って銃を合法的に購入し、警察との銃撃戦に備えて大量の弾倉を買った」
● 男は大音量で音楽を流し
小学校で起きた銃乱射事件を生き延びた少女(11)がCNNの単独インタビューに応じ、恐ろしい体験を振り返った。

当時、ミア・セリーロさんと同級生は教師2人のいる教室で映画を見ていた。授業が終わったところで、校舎内に銃撃犯がいるとの情報が教師たちに伝えられた。
教師の1人がドアを施錠しに行ったものの、男はすでにそこにいて、ドアの窓から銃を撃ってきた。
ミアさんはすべて一瞬の出来事だったと振り返る。教師が教室内に戻ると、男は追いかけてきた。男は教師の1人と目を合わせ、「おやすみ」と言って教師を撃った。
男は銃を乱射し、もう1人の教師とミアさんの友人多数を銃撃。銃弾はミアさんの体をかすめ、破片が肩や頭に当たった。ミアさんは病院で治療を受け、破片による傷を抱えた状態で退院した。
ミアさんのクラスの生徒を撃った後、男はドアを通って隣の教室に入った。隣の教室から悲鳴と銃声が聞こえてきた。銃声がやむと、男は大音量で音楽を流し始めた。悲しい音楽だったという。
ミアさんと友人1人はやっとのことで死亡した教師の携帯電話をつかむと、緊急通報して助けを求めた。
ミアさんは男が自分の教室に戻ってきて、自分や生き残った友人を殺害しようとするのが怖かったと語る。そこで、隣で死亡していた同級生の血に両手を浸して、全身に血を塗って死んだふりをした。
その状態で3時間ほど友人たちと横になっていたように感じるという。
● 教師が銃を持つことで
事件後にトランプ前大統領のスピーチがまたトンチンカンな持論を展開。
アメリカのテキサス州で、銃の規制に反対する団体の年次総会が始まった。出席したトランプ前大統領は教師に銃を持たせることで学校が安全になると主張した。
また、「『銃のない場所』を宣言する看板ほど、大量殺人犯を誘うものはない」と発言。
銃を規制するのではなく、教師が銃を持つことで学校のセキュリティーが強化されるとのこと。
アメリカのメディアは、国内の学校で起きた銃の乱射事件としては、2012年に東部コネティカット州の小学校で児童など26人が犠牲になった事件以来の悲劇だと伝えた。バイデン大統領は沿道に集まった大勢の市民から「(銃による事件を)何とかして!」との声が上がり、バイデン氏が「そのつもりだ」と応じる場面もあった。
バイデン氏は銃規制強化を訴えているが、野党・共和党には反対論が根強い。
参照:「血を塗って死んだふりをした」、11歳少女が恐怖の体験語る 米小学校乱射
虐めの仕返しに21人殺害、テキサス銃撃事件が示す米国の異常さ