「流浪の月」 2022年 日本

李相日(リ・サンイル)監督の広瀬すずの出る「流浪の月」という映画が気になっていた。

まず、映画を見る前に見た広瀬すずの映画ポスターがあまり綺麗ではない。

彼女は最初に見たときから、美少女というイメージがかなり強かっただけに、まるであっとゆうまに月日が過ぎ去ってしまったかのような違和感を感じた。

そして、広瀬すずのインタビュー記事を読むと、演じる事に対して悩んでいるように感じた。

「仕事が続いていたときは、プライベートで心動くことがなくなっていたんですね。それこそ映画見て泣くこともなくなってきちゃっていて。」

「実は『流浪の月』のクランクイン前、お芝居が分からないというか、感情がずっと出てこない時期があったんです。」

「『自分、どう演技をしたらいいか分かんないです』って素直に話したんですけど、そうしたら、監督も『怒り』以来、久しぶりに手掛ける長編映画だから「こっちもボールの投げ方すら忘れた」みたいなことをおっしゃってて(笑)」

というようなことと、映画の大まかなあらすじを奥さんに伝えたら、「私も行きたい」というので、めずらしく夫婦で最寄りの駅近くの映画館に行った。

物語は、9歳の更紗ちゃんが公演のブランコに腰掛け本を読んでいた時に雨がふってきて、男に傘を差し伸べられたことから始まる。
「うちに来る?」
という問いかけから、9歳の少女と19歳の青年、二人の交流が始まる。

更紗は当時、19歳の大学生である青年・佐伯文の部屋で生活を送る。

「帰りたい時には、帰っていいんだよ」
と、文は決して更紗を縛ろうとしなかった。そして伯母に引き取られて暮らす更紗も帰らなかった。二人の間には体の関係も暴力もなく穏やかなものであった。

しかし、湖へ出かけた二人は通報され、やがて文は警察に捕まる。2カ月に及ぶに二人の生活は終わった。

世間は文をロリコンと名指しして出所後も色々嫌がらせをする。当の更紗は彼に助けられたという意識があり、犯罪者として糾弾されたのは自分のせいだという負い目を感じていた。

ある日の夜、更紗は友人と飲み会の後にカフェに寄った。

そこのマスターの「いらっしゃいませ」という声を聞き彼女は気付く。そして顔を見て確信する。文だと。とても静かなカフェで、コーヒー豆を挽く音だけが響いているような空間。事件から15年後の再会だった。

風の動きや季節を感じさせるような、美しい撮り方で、音楽も物語とマッチしていた。

ただ2時間半はやはり長い。尿意を感じたけれど、映画の途中でトイレに行くのは嫌なのでひたすら我慢した。

でも、どうしても我慢できなくなって、トイレに行って戻ったら案の定、物語はよくわからない展開になっている。”文”演じる松坂桃李(とおり)が素っ裸で「君だけには知られたくなかった」とか言いながら体を締めて泣いている。

急な展開すぎて『はて?何が何やら。』一番肝心なところを見逃したことになるのか。後で奥さんから、見ていなかったシーンの内容を聞いてやっと納得。

トイレ時間の為に欠落したシーンがあるのは残念だったけれど、ひさびさにしっくりくる良い映画をみたという満足感を得た。