NHKの連続ドラマは、なんだかんだ文句は言うものの面白いものが多いので、習慣的に見ているけど、「これは何なのだろう?」と、強烈な
違和感を抱いたのが2012年の「純と愛」というドラマ。
脚本の遊川和彦は『家政婦のミタ』でヒットを飛ばしたから期待されたんだろうけど、オオコケしたドラマだ。主演の夏菜(なつな)が、このドラマの主演になったこと自体に恨み節?「女優楽しめなくなった」と告白していたくらい。
そんなドラマだったけれど、二つの驚きがあって、まずは男優。一目で美形過ぎてまぶしいくらいの城田優という俳優を初めて知った。あまりに整いすぎた綺麗な日本人離れした顔立ちはアンドロイドのように見えた。今は、東谷というユーチューバーの生贄にさらされて大変な事態に陥っているが・・・・。
あと、もう一つは主人公の勤務先のホテルの同僚の役なのだけれど、見かけと違っていつも意地悪なことを考えている役を演じた黒木華(くろき はる)。本来なら意地悪な役で特別、美人でもないので気に留めることもないのだけれど、毎回、気になる存在になっていた。その
惹かれる気持ちがどこから来るのか不明だったけれど、彼女の魅力が100%発揮されたドラマを見て、改めて黒木華のファンになった。
ネットで書かれていた事なのだけど、今まで見たドラマの中でベスト5に入ると、推していたのが黒木華主演の「凪のお暇(なぎのおいとま)」。

節約が趣味の28歳のOLの主人公大島凪(黒木華)は、常に空気を読んで女子力の高い自分を演じている。ある日、同僚の陰口を知り、交際している彼氏が性行為目的の旨を同僚らに話しているのを知り、過呼吸で倒れてしまう。以後、会社を辞めて都心から転居する。ストレートヘアーをやめてくせ毛のままで人間関係を断ち切り、ゼロからの新しい生活を六畳一間のアパートから始める。
これは、実力のある俳優をそろえたすばらしいドラマで、見ていない人には、ぜひともお勧めしたいドラマ。何度も泣かされた。ドラマが終わるのが、大切な時間が消えていくようでとても淋しく感じたものだ。
黒木華の抑えた静かな演技と、過剰なくらいに叫んで泣いて語りつくす高橋一生のオーバーアクションがうまく混ざってこちらにぐんぐんと迫ってきた。一生の演技力も相当なもので、こんなにうまい俳優とは、このドラマを観るまで気がつかなかったのはオバカだった。

黒木華の独特な笑顔は、癖になる可愛らしさで観ている人を安らぎの世界に連れて行ってくれる。その笑顔は、美人の笑顔も勝てない無敵のオーラがある。これは、このドラマで画面一杯の正面からの彼女の笑顔を毎回見せられて、確信したこと。
主人公の隣に住む中村倫也(なかむら ともや)の、ゴーヤ越しの登場も良かったし、三田佳子の杖をつきつつよたよた歩いている完璧なおばあちゃん役にも驚いた。三田佳子は、若い時の印象は綺麗な役しかやらないイメージがあったけれは本当の女優魂をこのドラマで見せてくれていた。コンフィデンスアワード・ドラマ賞にて、中村倫也といっしょに賞を取っているのも納得。ドラマは2019年7-9月の最優秀作品賞を受賞している。
また、2020年10月に韓国・釜山で開かれた第2回アジアコンテンツアワードで、ドラマ「凪のお暇」の黒木華が主演女優賞を受賞した。アジアコンテンツアワードは、アジア10カ国で過去5年間に作られた作品の中から優れた作品や俳優を選出するもの。
この受賞を受け、黒木からコメント。「『凪のお暇』というドラマは、良い意味で空気を読まないことで、自分や周りを大事に、関わりを作っていく物語です。世界的に厳しい状況が続く中で、このドラマが国を超えて、皆さんにみていただけた事、評価していただけた事がとても幸せですし、そんな作品をスタッフ、キャスト皆で作れた事が何より嬉しいです」と喜びを語っていた。
参照:『凪のお暇』黒木華、アジアコンテンツアワードで主演女優賞「とても幸せ」