大阪・北区のビルのクリニックが放火された事件は25人の死亡者が出た。



今月17日、大阪・北区曽根崎新地のビルの4階にある心療内科のクリニックが放火された。警察が殺人と放火の疑いで捜査している男性は住所・職業不詳の谷本盛雄容疑者(61)だと公表している。

● 事件に関する切り抜き
密閉されたビルという空間で、火を放ち多くの人を巻き沿いにして殺害してしまうという手口が、青葉真司被告の起こした36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件を想い起こさせる。

ということは、ニュース記事でもコメントでも多数見受けられたが、大阪ビルの放火犯人の関係先の住宅から「京都アニメ―ション」の事件に関する切り抜きがみつかったという。

谷本盛雄容疑者は現在、危篤の状態とのこと。警察は京都アニメの放火事件との関連性を捜査していく。

谷本容疑者は、青葉に感化された模倣犯なのか。また続いて同様の犯罪が起こる可能性があることが、想定されるので怖い。



● 誰かを殺せば死ねる
谷本の記事になっている半生を読むと、暴力行為を今までも起こしていることがわかる。10年前には長男の頭を刺したとして殺人未遂容疑で逮捕されていた。

谷本は高校を卒業後、父親が経営する板金工場に就職。その後結婚し、2児をもうけるが、2008年秋頃に離婚している。その後、長男を刺す事件を起こしたのは2011年4月のことだ。

当時、事件の裁判を傍聴した捜査関係者はこう話す。

「谷本容疑者は離婚後、寂しさに耐えかねて元妻に復縁を申し込んだものの、断わられ、さらに孤独感を募らせていったようです。自殺を考えるようになったが、死ぬのが怖くて踏み切れなかったため、誰かを殺せば死ねるのではないかと考えるようになった。そこで、“働いておらず元妻に迷惑をかけていた”という思いから長男をはじめに殺害し、『家族は一緒でなければならないから』と、元妻と次男も道連れにしようと考えた」

「家族で映画を見た後、『家に寿司を買ってあるから持って行く』と言って元妻たちと別れた谷本容疑者はいったん自宅に戻り、出刃包丁、刺身包丁、文化包丁各1本のほか、スタンガンや催涙スプレー、ハンマーなど多数の凶器を持って元妻宅を訪れた。その後、殺害の機会をうかがっていたものの、ためらう気持ちもあってしばらく犯行に及ぶことができなかったようです。

しかし、翌日の明け方、そろそろ計画を実行しなければと思った容疑者が、飲酒して長男と口論になったのをきっかけに、出刃包丁を長男の頭や肩などに何度も振り下ろした。長男が抵抗し、玄関の外へ谷本容疑者を押し出したため、幸い致命傷にはならなかったそうです。裁判では、谷本容疑者から『家族全員を道連れにするつもりだった』ことを打ち明ける手紙をもらっていたことを元妻が明らかにしています」

● 起訴後の精神鑑定

京都アニメの青葉真司被告に関しては、京都地裁が10月18日までに起訴後の精神鑑定を行うことを決めていた。公判では刑事責任能力の有無や程度が争点になると思われていて、起訴前に続いて2度目の鑑定が必要と判断したようだ。

責任能力が争点になる事件では起訴後に鑑定を行うケースが多い。入所者19人が殺害された相模原市の障害者施設殺傷事件でも2度の鑑定が行われ、初公判までは起訴から2年10カ月を要した。

大阪ビルの谷本はどのような判断になるのか。1人で死にたくないという身勝手な理屈から引き起こされた犯行に思えるが、同じように彼もまた責任能力が争点になるのであろうか。

参照:大阪 ビル放火 容疑者の関係先から「京アニ」事件の切り抜き
    大阪ビル放火 谷本盛雄容疑者は「息子刺傷事件」で家族全員を道連れにしようとしていた