
「アンテベラム」 アメリカ 2020年 原題:Antebellum
「ゲット・アウト」「アス」の制作陣が送る「アンテベラム」は、感想や評論を読むと、書いている人がネタバレをとても気にしているのがわかり、そこに興味を持った。よほど凝った仕掛けがされてあり、バレると、面白さが半減してしまうエンタメ作品なのだろうと思った。
しかし、ベースは1960年代の人種差別が背景になっているので、内容がどのようにエンタメに化けているのか気になった。「アンテベラム」というタイトルの意味はアメリカ南北戦争直前の時代を意味する。
本作の手本となったのは、名作「風と共に去りぬ」との事で、しかし監督は風と共に去りぬを「現代の文脈から見直すと悪夢のような作品。制度としての奴隷所有を進行しているからね」とコメントしてる。
映画の前半は差別する男達の暴力や言動がひどくて、常に緊張感に満ちている。それがあるタイミングで、今までのトーンと違うストリー運びに変身する。眠くなるくらいにガラリと変わり、ホッとした気持ちになる。
そしてまた悪夢の世界に引き戻され・・・・。
この映画の終わり方は、ストリーをいじくると、亜流がたくさんできそうで、想像力を刺激される内容になっている。
ぼくは、興味深く映画を観たのだが、この映画もまた評価が極端で、今週号のキネマ旬報に書いている評論家は★一つとか★二つで評価している。だから、100点満点に換算すると、20点や40点ということになる。『いくらなんでも、それはないんじゃないの?』と、思う。
「アンテベラム」は映画ポスターもいいと思った。ポスターの赤い蝶が印象的だ。でも映画の中に蝶が何かを暗示する事で出てきたかな?と思ったが、思い出せない。蝶はキリスト教で「復活」を意味するモチーフとしても知られる。また赤やオレンジ色の蝶は「積極的な行動」「自由行動」などを指すとのこと。