2年前に公開された「マスカレード・ホテル」がおもしろかったので、今回の「マスカレード・ナイト」も、観に行った。監督も前作に続き、鈴木雅之監督。

原作は、東野圭吾のベストセラー小説で、『マスカレード』シリーズ三作目。

都内マンションで起きた若い女性の殺人事件。その犯人の情報が警察にファックスで届く。

犯人が大みそかにホテル・コルテシア東京で開催されるパーティ「マスカレード・ナイト」に現れるとのこと。新田浩介(木村拓哉)は潜入捜査のため、再びフロントに立つ。コンシェルジュに昇進した山岸尚美(長澤まさみ)の協力を得て捜査を進めていくが、パーティの500人の参加者は全員が仮装して顔を隠していた。

今回も前作に続いて、細部まで行き届いた豪華なホテルの美術セットが気分を盛り上げてくれる。あの、フロントにカメラがゆっくり近づいていくところなどは、まるで自分が入口から歩いてフロントに接近しているかのような気分にしてくれる。



● 田中みな実、役をきっちり演じて
今回は、ちょっと驚きだったのは宿泊客の一人を演じた田中みな実。

ぼくの中では、ブリッコで男好きのイメージしかなかったフリーアナウンサーの田中みな実が出演時間は短いものの、役をきっちり演じているので見直してしまった。
田中は、「本番中も“あの”ホテルのセットでお芝居をさせてもらえていることに終始興奮気味でした。」と、演じた感想を述べている。

彼女はバラィティに出過ぎでイメージを固定化させてしまっているのが、マイナスになっているのではなかろうか。そろそろ女優業のことも考え、もう少しバラエティ出演を抑えて役に取り込んでもいいと思うのだが。

と言うのも、先ほどテレビをつけたら、失恋したときの小話を山里亮太と複数の女性タレント相手にたらたらと語っていた。これが困ったことにそこそこ面白い。

田中みな実に続いて印象深かったのが沢村一樹。
気障で、傲慢で女好きの宿泊客・日下部篤哉(くさかべとくや)を演じた沢村が妙にはまっていた。主役を食ってしまうくらいに、アクの強さが出ていた。映画の大画面に合っている役者だと思った。

● 木村君はいつも“勝負していく”
主役の木村拓哉。
彼の演技で少し気になったのは、フロントに居てお客さんの相手をしているときはいいのだが、その後の表情が変わりすぎだと思った。険しすぎて恐いくらいだ。これでは、犯人でなくとも、違和感を感じてしまうだろう。フロントに立つということは、ホテル内にいる間は、刑事だと気づかれてはまずいのに。

ところで、木村拓哉は、現場では相当の信頼を得ているようだ。鈴木雅之監督は彼の事をこう評している。

「木村君とはいろんな作品で組んではいますが、慣れ合うことはないですし、僕の言うことは聞いてくれるとかいうことでもないんです。友人関係にはありますけど、現場で監督と役者になったとき、そんなにダラダラっと話す感じではない。木村君はいつも“勝負していく”という感じで、彼が見ているからいい加減なことはできないという緊張感が生まれる。そんな、打ち解けない良さがありますね」

長澤まさみの発言からも、木村には信頼を寄せていることがわかる。


「集中力と緊張感が違います。本作では『事件を起こす』という密告が入るから、終始、緊迫した雰囲気が漂っていなければいけないのですが、木村さんがそういう空気感を率先して作ってくださいます。だから顔見知りの人たちとのやりやすい環境でも、決して馴れ合いの現場にはならないし、木村さんは常に私たちの演じやすい環境を作ってくれます」。

この映画は、公開7日目で観客動員100万人を突破し興行収入13.5億円を突破したという。この人気からすると、マスカレードシリーズはあと何作か作られていくような気がしてくる。次が楽しみのような、マンネリになる恐れもあるので、ここで終わるのが一番いいような、複雑な気持ちだ。

参照:『マスカレード・ナイト』木村拓哉が凄い瞬間 20年来のコンビを組む鈴木雅之監督が明かす