
「戦場のピアニスト」 2002年 フランス・ドイツ・ポーランド・イギリス合作 原題:The Pianist
昨日、2021年8月15日は76回目の終戦の日。
テレビ番組も8月15日は日中、追悼番組を放映し、夕方以降は懐メロや戦争映画など、さまざまな形で「今年も8月15日がやってきた」と感慨深くなったけれど、それでは現在は・・・・・・
『テレビ番組表を見ると戦争関連番組が減少している印象は否めません』ということが、記事であがっていた。
それで、それにかこつけるわけではないが今回は戦争に関係のある映画、ロマン・ポランスキー監督の「戦場のピアニスト」を見た。
映画は、ドイツ軍の侵略によって、どんどん生活がおびやかされ、ようやく生き延びている状況が描かれている。挨拶をしなかったからといって、こぶしでなぐりつけられる老人。質問をしたとたん拳銃でうたれて死んでしまう人。
ピアニストなのに生活のためにピアノを売るユダヤ系ポーランド人の主人公。ついに家族が収容所行きの列車に乗せられ、死の別れとなる場面となる。そこには、ピアニストが名曲を弾く場面もなく、生活が圧迫されて、ただ ひたすらナチスから逃げてゆく生活が描かれている。
延々と、逃げる姿は当時の状況からかんがえれば、限りなく現実的な日常なのだろうが、さすがにこれだと救いもなく観ているのがつらくなってくる。
ただ一つ気に入った場面。
隠れていたところを発見され、ドイツの将校 に職業を聞かれる。「ピアニスト」と答えたところ、ピアノを弾くようにうながされる。
ピアニストは既に浮浪者のような風貌に変わり果てている。しかし、ひとたびピアノに向かうと、その印象は豹変する。圧倒的な迫力で聞いている者の胸をうつ。薄暗い部屋とかすかに入ってくる光。その空間でピアニストとただ一人、演奏を聞く将校。ここの映像がすばらしい。この場面は、泣けた。
あの将校とピアニストの出会いの場面、それを中心に映画を組みなおしたらどんな作品になったのだろう?将校が聞いた演奏は、映画では一度だけだったけれど、実際はどうだったのだろうか?
もう少しピアノ演奏の場面があってもいいように思った。映像が良かっただけに、印象が散漫なのは残念だ。