「21ブリッジ」2019年製作 中国・アメリカ合作 原題:21 Bridges
 

ブライアン・カーク監督の「21ブリッジ」は、ぼくにとって約半年ぶりの銃撃戦が半端なく多いアクション系の映画。

銃の音が内蔵にビシバシ響いてくるようで、映画の場面に身体ごと入り込んで体験しているかのような気分になった。

アカデミー賞において、スーパーヒーロー映画として初めて作品賞にノミネートされた「ブラックパンサー」(2018)のチャドウィック・ボーズマンが主演・製作を務めた。

二人組の麻薬絡みの強盗事件が発生し、警察官8人を殺害して逃亡。警察官である父親が幼い頃に殺害されて、自らも同じ職業に就いたデイビス刑事が捜査に乗り出す。犯人の逃走を防ぐために、マンハッタンの全面封鎖を行う。島を出る21の橋、3つの川、4つのトンネル、そして鉄道網のすべてをロックダウン。しかし、その犯人の行動とは別にもう一つの闇を知ることとなる。

最初のシーンから独特な緊張感に包まれている。犯人役のテイラー・キッチュも、派手な骸骨風マスクと目力がすごい。

また、銃撃戦や動きが本格的でついつい犯人の二人の方へ気持が入ってしまった。犯人は、経験豊富な元軍人という役どころで2人は戦術スキルを磨くため、ブルックリンのSWATチームと訓練したという。それもうなずけてしまう迫力。

見終わった後でこの映画の面白さが一度きりなのはもったいないと思った。ぜひ続編を作成してほしいと感じたが、演じた主役のボーズマンは2020年8月に大腸がんと約4年間の闘病の末に亡くなっている。

病魔に侵されていた事実を知っていたのはごくわずかで、共演者にも告げていなかった。死去の際にはだれもが耳をうたがったという。当映画の撮影は18年だったため、化学療法に伴う苦痛に耐えながら、重厚なセリフ回しや迫力のアクションに挑んでいたことになる。

彼が「ブラックパンサー」(2018)で主演した時より、今回の映画のほうがぼくは内容も演技も好きだ。これからというときに、43歳の年齢で亡くなったのは惜しい。

映画ジャーナリストの猿渡由紀氏が、生前のボーズマンにインタビューしていて、彼は刑事役を演じたことについてこのように語っている。

「僕は今作で、本物の刑事をリアルに表現したかった。僕はこれまで、警察にあまり好感を持ってこなかったので、人と人として、刑事にアプローチしたいと思ったんだ。そして実際、この映画で知り合いになった刑事と仲良くなったんだよ。とくに、僕に銃のトレーニングをしてくれた人。彼は僕の誕生日パーティにも来てくれた」

カーク監督は作品に関するリアルさへのこだわりを語る。
「作品には素晴らしいアドバイザーがたくさんついてくれたのですが、みんな元ニューヨーク警察の方でした。多くの方が実際に本作に出演をしています。劇中に登場する警察のほとんどが現役、あるいは元警察官の方なので、リアルさをもたらすことができました」。

また、「セッション」で主人公を徹底的にしごく鬼教師を演じたつるっ禿げ・じーちゃんのJ・K・シモンズが、主人公を古くから知るベテラン警官役で出ている。

参照:故チャドウィック・ボーズマンは製作・主演を務めた本作で、何を表現したのか?
   「21ブリッジ」現役&元警察官の出演でリアルさを追求 監督が明かす舞台裏