
共に演技派役者のだまし騙されあいというのが、謳い文句のビル・コンドン監督の「グッドライアー 偽りのゲーム」。出会い系で知り合った過去のある高齢男女の、顛末をミステリーで描いている。
男はベテランの詐欺師で徐々に相手の信頼を勝ち取っていき、油断しきったところで財産を残らず奪い取るというのが得意とする手法。女は1年前に夫を亡くしてからというもの、悲しみに暮れていた資産家。お互い高齢の彼らは親睦を深め、共同生活を送ることになるが、だがそれはベテランの詐欺師の策略だった。
本作はニコラス・サールが2016年に発表した小説『老いたる詐欺師』を原作としているとのこと。
テンボがよくて退屈はしなかったものの、何か物足りなさを感じた。二人の年齢は映画のストーリーのなかでは特定していなかったと思えるが、ぼくには70代に見えたし、後で演じた役者の実年齢を調べたらあたっていた。さすがにその年代だと、好きだ、愛しているというアピールは興ざめしてくる。
やはり恋愛を示唆する物語で、感情移入ができるのは、ぼくにはせいぜい50代前半までで、それ以上は醒めて眺めてしまう自分がいる。ぼくより若い人達には、この映画の設定はもっと違和感があるのではないか?もっとも、この映画は邦題の表すように、恋愛よりも『偽りのゲーム』がテーマ―なのだが・・・・・。
それと、登場人物の戦争時代を含めた過去も、どこか無理くりくっつけたような気がした。つまり過去と現在の言動が遊離している印象を持った。小説ではそんなことはないのか気になるところだ。
但し、当映画で夫を亡くした資産家を演じたヘレン・ミレンは興味深い女優。「若いころよりも今のほうが断然、自分の容姿に自信が持てると語るヘレン・ミレン、72歳。150歳まで生きていたいと言う彼女の、果てしない好奇心と魅力に迫ってみました。」との前書きによる1年前のコラム記事を読むと、もっとヘレン・ミレンについて調べて読んでみたいと思う。
参照:ヘレン・ミレン72歳、飽くなき好奇心で今を生きる。
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