ダニー・ボイル監督の「イエスタデイ」を見た。全体的にユーモラスな雰囲気で、とても暖かい気持ちになれる優しい物語だった。ビートルズにそんなに興味を持っていなかった人も、彼らのファンにさせる力を持った作品だ。


売れないシンガーソングライターのジャック(ヒメーシュ・パテル)は、有名な歌手になる夢を追うことをやめようと考えていた。ガールフレンドと会って自転車での帰り道、トラックと正面衝突する。

彼は、衝撃で自転車から突き飛ばされてしまう。彼が病院で目覚めた時を境にして、史上最も有名なバンド「ザ・ビートルズ」が世界から消えていた。彼らの名曲を覚えているのは世界でただひとり、ジャックだけ……。


彼は、ビートルズの覚えている曲を自分の作品として発表し、それにより世界的に有名歌手に登りつめていく。
 

まずは、ビートルズを誰も知らないと知ったジャックが、慌ててグーグルでビートルズ(Beatles)を検索し、カブトムシしか出ないのに唖然とする場面が面白い。またビートルズの曲の歌詞を部分、部分しか覚えていなくて、思いだすのに頭を抱え四苦八苦する場面もリアル感があった。
 

色々、苦悩するジャックをささえていたのが、売れない頃から彼のマネージャーをやっていた幼なじみの女性の親友・エリー(リリー・ジェームズ)。彼女が、とても可愛らしくさわやかな味を出していた。

主人公が、ボワンとした風貌で、さらにトラックと衝突したときに前歯がかけてしまったので、なおさらエリーが引き立つ。但し、この前に観た日本映画「宮本から君へ」の主人公も前歯が欠けてしまい・・・、

『今年は前歯が欠けた主人公の映画が当たりの年だ!』(なんか変な結論だけど)


映画ではビートルズの曲が流れ、歌詞の訳が字幕で出てくるのだけれど、今までもう何度も聴いて新たな発見もないように思えていた曲が、『実はこんなに心に染みてくる歌詞だったのか・・・』とも、気づかされた。


ところで、「もしもビートルズがいなかったら・・・・」と、いう映画と連なる発想を日本で2017年9月に既に発表していた人がいた。糸井重里氏である。


ひょっとして、この糸井重里氏へのインタビュー記事が掲載されたサイト「ほぼ日手帳マガジン」を見て、誰かが脚本家リチャード・カーティスをそそのかしてできたのが、本作か・・・・・?

というのは冗談で、このサイトの内容は、ひたすらビートルズへの愛を糸井氏が語る内容になっている。照れながらビートルズへの愛を延々と述べている糸井氏は、ちょっと新鮮だった。
 

参照:もしもビートルズがいなかったら。 - ほぼ日手帳 2018