「ジョン・ウイック:パラベラム」 2019年 アメリカ 原題:JOHN WICK: CHAPTER 3 - PARABELLUM


チャド・スタエルスキ監督の「ジョン・ウイック:パラベラム」を観た。とにかく人がどんどん撃たれていく。まるで最初から銃で撃たれて死ぬためにだけ生きてきたかのような、なんの感慨もない死、軽すぎる死が画面のなかに多すぎる。


そこは暗黙の了解と言われればそれまでだけど、ここまでノンストップで休みなしにドンパチはどうなのか?
あんまり多すぎると、目と頭が慣れてしまって新鮮さが消えていくから難しい。


● 西部劇が大好き、じゃあ馬に乗ろう
但し、当然それだけの映画ではない。敵の格闘技レベルが相当高い。蹴りの速さなど迫力はものすごい。物語の中で敵がジョン・ウイックの戦いのスピードを「遅い』と口にする場面があるのだがそれも納得。逆に『そちらのレベルが高過ぎるだろ!』とも、思った。


犬を味方に使った戦いも迫力満点。銃よりも怖い。噛みついたら、離さないし噛んだまま顎を使ってグイグイより深く噛めるように喰らいついているように見える。でも『なんでこれらの犬は敵の銃で撃たれないの?』という疑問はわいてしまうが。


結論、当映画は物語は、ほとんど頭に残らなかったけど、銃プラス格闘技のショーとしてとても満足のいくものだった。壁にデジタルアートが一面に映されている部屋の中での戦いも、とても綺麗で、新しさを感じさせた。「ジョン・ウイック:パラベラム」の中には色々な楽しめる要素が詰め込まれている。そこを監督はこのように説明している。


『「ジョン・ウィック」シリーズでは、僕やキアヌで大きな壁に好きな映画や音楽、写真や俳優についてのあれこれを貼り付けてアイデアをまとめるんです。たまに、ただビビっときた写真だけを貼るときもあって、キアヌがスーツ姿で砂漠にいるのはそこから着想したんですよ。


それからキアヌも僕も西部劇が大好きということで、じゃあ馬に乗ろうと。こんな風に、アクションのアイデアは、他の映画や他のところから得ているんです。黒澤明やベルナルド・ベルトルッチも「マトリックス」も大好きだから、そんなところも取り入れて。』


● キアヌよりも上手な敵を見つけて
今回の映画で印象が強かったのは、きゃりーぱみゅぱみゅの曲「にんじゃりばんばん」が寿司屋で流れていたこと。なんで突然「日本の寿司屋と日本のポップミュージックが?」と思ったら、インタビューでキアヌ・リーブスは、こう答えていた。


「1つ言えるのは、僕らは日本に惹かれているということです。今作ではちょっとだけ出てきましたが、これからのストーリーの中に日本をもっと組み込めないかと考えています。」と、次作にはもっと不思議な日本が入ってくるということか?


ところで、寿司屋なのにカウンターに飼い猫までのっかっていて、店の職人は”ゼロ”という覚えやすいネーミングの殺し屋という設定。こんな寿司屋はあり得ないし、そこで食事したいとはまったく思わないけど、そのアンバランスさがなんだか可笑しかった。


そのゼロという今回のジョン・ウイックの一番の敵は、マーク・ダカスコスという俳優が演じていて、本格的に強いなぁと思って調べていたら、なるほど・・・と、納得の経歴。


両親がカンフーの師範だったため、4歳から格闘技を習っている。9歳までハワイに住んでいたが、両親が武術指導を考え、ドイツに移住。18歳の時カンフーのヨーロッパ選手権で優勝、という本格的な武術の達人。


母モリコ・マクヴェイ=マレイは日本人とアイルランド系アメリカ人の混血。父アル・ダカスコスはスペイン人、中国人、フィリピン人の混血で、姓はギリシア系であるとのこと。マーク・ダカスコスは、なんだか色々な血が混ざりすぎていて、よくわかんないことになってしまっているが、アジア的なエキゾチックな風貌を持ち、独特な魅力をもっているのは確かだ。


なお、監督は「キアヌも達者ですが、アクションを組み立てる上ではキアヌよりも上手(うわて)な敵を見つけてくるんです。」と言っているから、これだけ敵の印象も強いのだろう。

参照:【インタビュー】『ジョン・ウィック』コンチネンタル・ホテルは東京にも存在、監督とキアヌが認める ─ 「日本を舞台にしたい」

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